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からだ・美容

更年期が膣内環境に及ぼす影響 「強い悪臭」は病の可能性も 注意すべきことを専門医に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:百束 全人

体にさまざまな変化を感じる更年期(写真はイメージ)【写真:写真AC】
体にさまざまな変化を感じる更年期(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 更年期に入ると、体にさまざまな変化がありますが、おりものに“異変”を感じる人もいるかもしれません。実は、おりものの変化が膣内の防御機能に影響を与え、感染症の原因になることも。更年期世代の女性は、どんな症状に注意したら良いのでしょうか。性感染症専門「ペアライフクリニック」の百束全人(ひゃくそく・まと)医師に伺いました。

 ◇ ◇ ◇

更年期は、膣内の防御機能が低下する

 更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、おりものの量が少なくなります。その結果、膣内の防御機能が低下し、膣にまつわるトラブルが起こりやすくなるのです。

 そもそもおりもの(帯下)とは、子宮や膣からの分泌物やはがれた細胞を含む粘液で、膣内の自浄作用(細菌や異物の排除)、膣の潤滑、受精のサポートの役割を担っています。

 思春期から20代にかけては、女性ホルモンの分泌が活発で、おりものの量が多い傾向に。さらに30~40代にかけては、個人差はありますが、妊娠や出産などの影響で変動しながらも、おりものの分泌量は比較的安定しています。

 そして更年期になると、膣内環境は変化。粘膜が薄くなったり、乾燥したりすることで、感染症リスクが高まります。性生活がある場合は、性感染症にも注意が必要です。

膣トラブル 更年期が注意したい症状とは

 以下、更年期世代の女性がとくに気をつけたい、主な症状を挙げていきましょう。更年期はおりものの量が減りますが、いつもと違う色やにおいがある際は感染症の可能性があります。気になることがあれば、速やかに医療機関に相談しましょう。

○膣カンジダ症
 膣内が乾燥すると、粘膜が傷つきやすくなり、カンジダ菌が増殖しやすくなります。発症の原因には、免疫力の低下、抗生剤の使用、ホルモンバランスの変化、ストレスなどが考えられます。激しいかゆみや赤み、灼熱感があり、白くポロポロとしたカッテージチーズのようなおりものが出るのが特徴です。

○細菌性膣炎(BV)
 膣内の乳酸菌の減少や嫌気性菌の増殖など、常在菌バランスの乱れが原因で発症します。かゆみや下腹部痛といった症状は比較的軽いことが多いですが、灰白色のおりものが出て、魚が腐ったような強い悪臭があります。

○トリコモナス膣炎
 免疫力の低下によって感染しやすくなり、放置すると慢性化のリスクがあります。症状は、強いかゆみや会陰・膣の刺激感に加え、黄緑色で泡状のおりものや悪臭を伴うのが特徴です。

○クラミジア・淋病・梅毒・HIV
 新たなパートナーとの関係がある場合、膣の乾燥と粘膜の損傷により、これらの性感染症のリスクが上昇します。無症状で進行することもあるため、定期的な検査が大切です。