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ユニークな啓発活動が話題の岡山県警察 “バズる”イラスト描くおまわりさん 画力を磨いたルーツとは
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日々の巡回や交通整理など、市民の安全を守るために活躍する警察官。近年は、各都道府県の警察本部がSNSを活用し、より多くの人に防犯意識を広めようと、啓発活動に力を入れています。そうした取り組みのひとつとして、岡山県警察岡山中央署が発信するユニークなイラストが話題に。防犯などをテーマに描かれたそのイラストは、思わず目を引かれるものばかりです。イラストを手がけている、同署地域課で交番に勤務する巡査長の山口聡一郎さんに、お話を伺いました。
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似顔絵捜査員としても活躍
地元・岡山県内の大学を卒業し、2012年に岡山県警に採用された山口さん。岡山県警では交番勤務の傍ら、イラスト技術を駆使し、事件の被害者や目撃者の証言から犯人の人相書きを作成する“似顔絵捜査員”の業務にも携わっているといいます。
「幼少期から少年漫画が好きで、『北斗の拳』や『スラムダンク』などを模写したりしていました。中学生ぐらいから趣味で人物画を描くようになって、友人や教師の似顔絵を描いて見せ合うといったことも。イラストの技術は、主に漫画イラストの模写で身につけたもので、ほぼ独学です」
防犯や交通安全などの注意喚起にイラストを活用するようになったのは、2年前から。ホワイトボードに描いたイラストを署内に掲示するようになりました。「岡山中央警察署へ配属された際に、当時の上司がイラストを活用した防犯啓発企画を立案したことがきっかけで、現在のような形の広報活動に至りました」と振り返ります。
当初は岡山中央署へ足を運んだ人だけが見られるものでしたが、その後、岡山県警察の公式X(ツイッター)アカウント(@okayama_police)に、そのホワイトボードを撮影したものを投稿するように。親しみやすくわかりやすいため、記憶に残る呼びかけとして、大きな注目を集めるようになりました。
「元ネタのイメージや人気を損なわないように」

山口さんが手がけたイラストは、車上荒らしや自転車の盗難防止対策、防災グッズ点検の呼びかけなど、防犯・防災に関する幅広いテーマを扱っています。どれも多くの人が親しみを覚える漫画やおとぎ話、著名人のオマージュが巧みに盛り込まれており、目を引きます。
こうしたデザインのアイデアは、啓発するテーマを聞いてから、広報担当者と相談して決めているのだとか。
「SNSで全国に発信するので、岡山にちなんだ『桃太郎』を起用することが多いですね。また、多くの人が親しみを感じている、有名キャラクターや俳優をオマージュすることもあります。そうした際は、元ネタのイメージや人気を損なわないように気をつけて描いています」
大きな注目を集めるイラストですが、山口さんの仕事の本分は交番勤務です。市民の安全を守る業務を優先し、図案を考えたり下書きをしたりするのは、休日や休憩時間にしているそう。
「スケッチブックなどに下描きしたものを広報担当の方に確認後、本格的にイラスト作成に取りかかります」
そこから1つの作品を仕上げるのにかかる時間は、現在2~3時間ほど。限られた時間のなかで、丁寧に仕上げています。