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「なんで僕が作るの?」 ニュージーランドの料理人が首を傾げた日本食とは 独自の食文化にびっくり
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和食はユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、世界で認められた料理の地位を確立しました。キウイフルーツの一大産地として知られるニュージーランドでも、日本料理は幅広く浸透しています。国民的知名度を誇るセレブリティーシェフ夫婦は「すべてのレベルが違う」と絶賛。日本旅行を通して意外なグルメが気に入ったそうです。元キウイ農家の女性は、日本で感動した伝統料理を、母国の自宅で“再現”しています。そんなプロたちをとりこにした日本の味とは。(取材・文=吉原知也)
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「いやあ、とにかく暑くてね」 夏の日本旅行でグルメも堪能
「自分たちの畑で、自分たちが食べる材料を作る。ここで育てられた食材が、このキッチンに入ってくるんだ」
ニュージーランドのレストラン経営者で料理研究家のマイケル・ヴァン・デ・エルゼンさん。同国の高視聴率料理番組「The Food Truck」に出演するシェフとしても知られています。妻のベリンダさんも料理人で、「僕とベリンダは37年間、シェフをやっているんだ」。ニュージーランドに加えて、ロンドン、アイルランドでもオーナーシェフとして腕を振るっているそうです。
ニュージーランドの中心都市オークランド市街地から車で45分。自宅敷地内にある広大なファームで、ベリンダさんが数多くの野菜を育てています。ゲストハウスの建物には、本格石窯をはじめ、最新オーブン、悠々とした設計のキッチン……。料理教室やウエディングパーティーでも使われるそうで、ハイセンスなゴージャス感に驚嘆です。
和をイメージした「炙りマグロのグリーンキウイとキュウリ和え」を実演クッキング。キハダマグロを石窯の火でスモーク。キウイや野菜、香辛料の食材を入れ、黒ビネガーなどの調味料には、たまりしょうゆを隠し味に入れます。「日本のカツオを使ってもOKだよ」。手早く鮮やかに、おいしそうな一品を仕上げました。
マイケルさん・ベリンダさんと2人の娘さんの一家は、昨年8~9月にかけて日本旅行を満喫したそうです。「いやあ、とにかく暑くてね。次は冬に行かないとね(笑)」と日本の猛暑を振り返ったマイケルさん。東京・京都・広島・大阪を回り、グルメを堪能。「マグロをたくさん食べたよ。アメージングで素晴らしかったよ」と笑顔を見せます。
そんな南半球の“料理の鉄人”が気に入ったのは、関西グルメ。「大阪の川沿いのお店で食べた、串揚げが印象的だったね。あのソースの味わいが素晴らしかったよ。たこ焼きもクリスピーで歯ごたえがいいね。あと、広島のお好み焼き。キャベツがたっぷりでヘルシーだし、かつお節が踊る感じが大好きなんだよ」。どうやら“粉もん”の大ファンになったようです。
一流の料理人としてこんな観点からチェックしていたそう。「新幹線を待っている間、カフェでコーヒーとサンドイッチを頼んだのだけど、サンドイッチが完璧にカットされているのに驚いたよ」と舌を巻きます。一方で、ちょっと不思議に感じたことも。「神戸ビーフのしゃぶしゃぶを食べたんだけど、なんで(客である)僕が作るの? と思ったよ」。海外の文化・慣習からすると、客が自分で料理を仕上げるシステムはあまり見かけないため、マイケルさんは特に料理人でもあるので、びっくりしたようです。
