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焼き鳥を食べるとき、串からはずすとマナー違反になる? バランス良く楽しむコツとは
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教えてくれた人:和漢 歩実

飲み会などで人気の焼き鳥。店で食べる際に、串からはずすべきか、はずさずにそのまま食べるべきか、意見が分かれるところです。いったい、どちらが“正解”なのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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おいしく食べる視点から言うと「はずさない」
結論から言うと、お店で提供された焼き鳥を串からはずして食べても、串に刺さったまま食べても、どちらがマナー違反ということは基本的にありません。マナーとは、周囲への思いやり。周囲にいる人を不快にさせないような振る舞いが大切です。
そのうえで、おいしく食べるためには、焼き鳥を串からはずさず、刺さったままの状態で上から食べるのが良いでしょう。串1本をおいしく食べるために、店ごとの工夫がされているからです。たとえば、ひとくち目でボリューム感を出すために、串のてっぺんに刺す具材を大きくしたり、味を濃くしたりしています。
肉を串からはずすと、肉汁が外に出てしまったり、空気に触れる面が増えて冷めやすくなったりします。串の刺し方も、肉をやわらかく感じる角度にするなど、店独自のこだわりがあるでしょう。そのため、串からはずさずに丸ごと1本を食べるほうが、作り手への気持ちに沿っていると言えます。
串に刺したまま食べる際は、上からパクッとかぶりついてかまいません。下のほうになるとしだいに食べづらくなるので、具材を箸でつまみ、串を回転させて先端のほうにずらしながら食べると、口の周りを汚さず、きれいにいただけます。
シェア目的ならはずしても ただし周囲への配慮が大事
一方で、串に刺さった状態で食べるのに抵抗があったり、かぶりつくのが難しいと感じたりする場合もあるかもしれません。また、飲み会の場でシェアする目的で、串からはずすこともあるでしょう。
そのような場合は、事前にお店の人に事情を伝えたり、同席者に「シェアするのに串からはずします」などの言葉をかけたりするなど、コミュニケーションを取ってからはずすほうがスムーズです。
大切なのは、「その場の状況に応じて」臨機応変に対応することです。お店に焼き鳥の食べ方の決まりがあれば別ですが、一般的に“正解”はありません。周囲の人への配慮を意識していたいですね。
焼き鳥はさまざまな部位が味わえる楽しみも
焼き鳥は、鶏のさまざまな部位が味わえる楽しみもあります。串に刺して焼き上げることで生まれる、香ばしさやジューシーさが特徴です。定番のもも肉のほか、皮、ハツ(心臓)、レバー、砂肝、ぼんじり(尾骨周り)などがあり、部位ごとに食感や風味が異なります。
鶏なのでヘルシーなイメージがありますが、部位によっては意外に高カロリーになることも。とくに皮やぼんじりなど脂の多い部位は、焼くと香ばしくて人気がありますが、脂質量も多くなります。カロリーを控えたい場合は、脂身の少ないささみやむね肉、または鉄分豊富で比較的低脂肪なレバーなどを選ぶと良いでしょう。
また、味つけをタレよりも塩味にしたほうが、カロリーもやや控えめになります。栄養バランスで言えば、野菜と一緒に楽しめるねぎま、シシトウ串などがおすすめです。
焼き鳥の食べ方に“正解”はありませんが、お店や周囲の人が心地良い時間を過ごせるように心がけて、楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
