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食べるときに手を添える「手皿」はマナー違反? 恥をかかないために知っておきたい和食のNG
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教えてくれた人:和漢 歩実
食事中、箸で持った食べ物のタレや汁が垂れないように、利き手と逆の手のひらを皿のように添えることがあります。一見、上品な印象の「手皿」ですが、しないほうが良いのでしょうか? ついやってしまいがちな、皿に関する和食のマナー違反について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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手皿ではなく、小皿を口元に近づけよう
手皿とは、料理を箸で口に運ぶとき、タレや汁が垂れないように手のひらを皿代わりにする行為。和食のマナーでは好ましくないとされています。
手のひらサイズの小皿は手に持って、口元まで近づけて食事するのが基本。たとえば刺身をしょうゆにつけて食べるときは、手皿をするのではなく、しょうゆ皿を手に持って口元に近づけるのが正しい作法です。
手皿をしてしまうと、タレや汁などが垂れて手を汚す可能性があります。手が汚れたまま、ほかの食器や箸に触れることは不衛生とされ、周りにも悪い印象を与えてしまうでしょう。
また、手を拭くためにおしぼりを何度も使うことも、和食ではマナー違反とされています。おしぼりは本来、食事の前に使うものですので、食事中に頻繁に使うことは控えましょう。
大皿にある料理を自分の小皿に取る際も、手皿ではなく小皿を近づけて取るほうが自然でスマートです。
皿にまつわる和食でのマナー違反
このほか、和食でマナー違反とされる皿の扱いを挙げます。
○食べ終わった皿を重ねる
食べ終わった皿を重ねるのはマナー違反です。お店の人が片づける際に楽だろうという気遣いもあるかもしれませんが、重ねたことで皿の裏にも汚れがつき、かえって汚れが広がってしまうことがあります。
また、和食店で使用される漆器や陶器などは繊細で高価なものも多く、皿を重ねることで傷つけてしまうリスクがあるので注意が必要です。食べた皿はそのままにしておくのが正しいマナーです。
○食べかけのものを皿に戻す
一度、口元に運んだものを再び小皿に戻す行為はやめましょう。たとえば、大きな刺身など噛み切ったものをいったん皿に戻し、改めて箸でつまんで、しょうゆをつけ直して食べるといったことです。スマートではありません。
こうした場合は、箸でひとくちで食べられる大きさにしてから食べましょう。切れない場合は、食べかけのものを皿に戻さず、そのまま箸で持ち続け、ひとくち目を食べ終えたらすぐにふたくち目を食べましょう。
○皿を箸で引き寄せる
和食のマナーで、食器は手で丁寧に扱うことが基本です。また、箸は食べ物を運ぶための道具であり、器や食器を動かすための道具ではありません。
箸で皿を動かす行為は本来の用途に反しており、マナー違反とされています。テーブルの上で皿がこすれて音が出たり、場合によっては皿やテーブルを傷つけたりしてしまうことがあるので、やめましょう。皿は優しく手で持ち、手元に置きます。
和食は、料理のおいしさや美しさだけではなく、食べる側の所作の美しさも大切にする文化があります。堅苦しく考える必要はありませんが、生産に関わる方たちや命あるものを食べていることへの感謝の気持ちを持ち、周囲への配慮を心がけて食事を楽しみたいですね。
(Hint-Pot編集部)