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「間違いを犯して事故を起こしたくない」 72歳アメリカ人が日本で外免切替に挑戦 実技試験で不合格になった理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

アメリカ人の夫・ハニさん(スクリーンショット)
アメリカ人の夫・ハニさん(スクリーンショット)

 日本において、外国で取得した運転免許を日本の免許に切り替える「外免切替(外国免許切替)」制度。警察庁が10日、制度の見直しを行い、10月1日から審査をより厳しくする方針を示し注目を集めています。発給条件のゆるさがたびたび指摘されていますが、この制度を利用し、日本の免許取得に挑戦した72歳のアメリカ人男性の奮闘が、YouTubeで話題になっています。

 ◇ ◇ ◇

アメリカで50年以上の運転経験があるハニさん

 2024年夏にアメリカ・カリフォルニア州から日本へ移住してきた、72歳のアメリカ人・ハニさん。25歳年下の日本人の妻・リエさんと、ふたりの息子たちとともに福岡県で暮らしており、その日常をYouTubeチャンネル「ルキチ家【アメリカから日本移住した家族】」で紹介しています。

 ハニさんは移住前、1年間有効な国際免許を取得していましたが「日本は公共交通機関が非常に優れている」ため、一度も運転していませんでした。また、アメリカで50年以上運転をしてきましたが、言語に不安があり「日本でもし標識を読むことができない場合、間違いを犯して事故を起こしたくない」という思いもあったといいます。

 しかし、日本での暮らしが1年近くなり、電車やバスでは目的地に行きづらいと感じる機会も増えていきました。そこで、日本の交通環境に順応しようと、外免切替に挑戦することに。

 リエさんによると、ハニさんはアメリカ・カリフォルニア州の免許を保持。これを日本の免許に切り替えるには、学科試験(10問中7問正解)と実技試験の両方に合格しなければなりません。学科に合格できても、実技試験の合格率は、なんと30~40%といわれているそうです。

 そこでハニさんは、実技試験に備えて教習所へ計3回、通うことにしました。リエさんも通訳のために毎回同行。とくに難しかったのは、日本の狭い道でのS字・クランク走行や、巻き込み確認といった日本特有の安全確認動作だったといいます。

惜しくも不合格 再挑戦に意欲

 初回の試験日は子どもが同行を嫌がり延期になるなど、トラブルはありながらも諦めず、試験に臨んだハニさん。学科試験は無事に合格できました。実技試験では「通訳者は同乗できない」ことを試験直前で知るアクシデントがあり、ひとりで挑むことに。

 ハニさんは動揺していなかったものの、左折の際に脱輪し、車を停止しなかったため不合格になってしまいました。それでも、教習所に通い直し、再度挑戦する予定だそうです。

 動画のコメント欄には、「ハニさんのやる気エネルギーに脱帽です」「すっごくためになりました」「そんなに厳しいんですか?」などの声が寄せられています。

 運転技術だけでなく、日本の道路環境や安全マナーへの理解が不可欠な日本の免許制度。外免切替制度は、保持している免許の国や州によっても、試験内容に違いがあります。とはいえ、長年運転経験があっても、日本で安全に運転するには再学習が必要でしょう。

 しかし、誰もがハニさんのように教習所に通うわけではありません。外免切替は便利な制度である一方で、文化・言語・交通習慣の違いを乗り越えるハードルが高く、制度のあり方を含めて、今後も議論が求められています。

(Hint-Pot編集部)