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飲食店で子どもが嘔吐…接客中の応急対応に親がクレーム “虚偽報告”にぼう然「そんなこと言わないよ」
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多くの人でにぎわうショッピングモールでは、不測の事態が起きてしまうこともあります。親子連れの小学生の女の子が、飲食店内で吐いてしまいました。従業員がとっさに、ティッシュ箱と私物のウエットティッシュ、ビニール袋を女の子の父親に手渡し、ショーケースの前で待っていた別の客に応対。その場でできる限りのことをしたつもりですが、後になって、父親からクレームの電話が入ってしまったそうです。少し難しい状況でしたが、「私が中途半端に関わったのがいけなかった」と自責の念に駆られながらも、「よかれと思って対応したのに……」と残るモヤモヤ。SNSに体験談を報告した当事者の女性従業員に話を聞きました。
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「人手不足な時などでどうしても『無理な時』は無理なんです」
ショッピングモール内の洋菓子店。小学校2~3年生ぐらいの女の子が、突然嘔吐(おうと)してしまいました。茶髪風の父親は20代くらいに見えたそうです。体調不良の様子を見かけた女性従業員は、売り場に置いてあったティッシュ箱、新品の私物のウエットティッシュ、ビニール袋を「全部使って構いませんのでどうぞ」と差し出したそうです。
その後は待っていた別の客への接客にすぐ向かいましたが、どうなったのでしょうか。
「お父さんは『あ~はい…』と薄い反応でした。同じタイミングで、お向かいの店の方が、清掃スタッフとショッピングモールの事務所にも連絡してくださっていました。すぐに清掃スタッフが到着して、『床は掃除しますので、お嬢様の方を……』と伝えていました。そうしたらお父さんは『あっ! すみません! ありがとうございます』と答えていました。その後は、私は自分のお客様を対応していたので様子は分かりませんが、お父さんは清掃スタッフにお礼を言って立ち去ったようです」
女性従業員に対してはちょっと冷たい反応、その嫌な予感が現実になりました。後になって父親から、女性従業員の対応についてクレームの電話が入ったそうです。「私が『ご自分で片付けてください』と言ったことになっていました。『なんか、ビニール袋まで出してきて、“自分でなんとかしろ”と言わんばかりに、たくさんのティッシュを渡してきた』と。クレーム電話を受けてくれた社員さんに聞いたのですが、お父さんは『自分の子どもの粗相なので、私(父親)がなんとかするのは当たり前なのですが』と前置きしながらも、『ティッシュを渡しに来たスタッフが、プイッと振り返ってしまい、他の客を対応した』ということが気に入らなかったそうです」。
想定外のクレーム内容を伝えられ、女性従業員は「そんなこと言わないよ、なにそれ」とショックを受けてしまいました。
その場の対応については女性従業員にも考えがあり、事情がありました。「清掃スタッフの到着までの応急処置にと思い、お困りのご様子から、必要であろう物をとっさに渡しただけです。女の子のお顔(口元)を拭くのなら、ウエットティッシュの方がいいかも、安心して使ってもらえるかも、と思いまして、セリアで購入してありました私の物を差し上げました。それに、店の従業員として商品を購入しようとずっと待っててくださっていたお客様のことも、おざなりにできなかったのです」。
それでも、「ショーケースの前でずっと待っててくださっていたお客様の方へすぐに駆け寄ってしまった。それがよくなかったみたいでした」と肩を落とします。ちなみに、事務所に呼び出されてクレーム内容についての伝達がありましたが、「店舗の皆さんは、私のことをよく知ってくれていますので、私が『自分でなんとかして』なんて言うわけがないということは分かってくれましたし、一応事情を聞いておきたいからといった趣旨で呼ばれただけでした。正直なところ『やれやれだね』といった話にはなっています」とのことです。
投稿は反響を呼び、「自分の子供が汚したものは親が片付けるのは当たり前。主さん災難でしたね」「非常識かつ、悪質なお客さんだと個人的には思いました」「えー…やばいですね…どうしたらそんな思考になるのかわからないです」「何もおかしい対応じゃないかと…むしろ自分が親だったら感謝しかないとおもうけど…!」など、父親の振る舞いを疑問視する声が。
他にも、「申し訳ないけれど、あなたも言葉足りなかったんだと思う。でもこのパパは想像力が足りなすぎて呆れる」「元ショッピングモールお客様係です。言葉が足らないと理解してもらえないことたくさんあります! お客様へ状況説明したほうがよかったかもしれません」「接客ってホントたいへんですよね お疲れさまです」といった、接客業の難しさについての意見も寄せられています。
昨今は、客側が無理な要求を強いるカスハラも問題化しています。人手不足もあって、即座の対応が難しい状況もあるかもしれません。女性従業員は自らを省みて、気持ちを切り替えて仕事に取り組んでいるそうです。「今回の件は、私が中途半端に関わったのがいけなかったのだと思います。渡すものだけ渡して、他のお客様の対応を始めてしまいましたので。いただいたコメントに『言葉足らず』の指摘もありまして、確かにそうだったなと、今になって反省しています」。
そのうえで、「まず、虚偽の内容でクレームを言うのは、やめてほしいです。お子様連れのお客様に対しては、過剰なサービスや手助けは『できるところ、できる時』は対応可能です。しかし、人手不足な時などでどうしても『無理な時』は無理なんです。『してもらえなかった = はい。クレーム』ではなくて、お客様には『してもらえたらラッキー』くらいに思ってほしいと思っています。できれば『ありがとう』の一言をいただけたらうれしいのですけどね」とメッセージを寄せました。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)
