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顧客からの悪質クレームや不当要求…カスハラと対決する現場の声「無自覚の人が多い」
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顧客側が悪質なクレームや不当要求を突き付ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。顧客と小売店以外にも、取引関係にある企業間で行われるケースがあります。このところメディアでよく見かける言葉ですが、コロナ禍で増加したのでしょうか? また実際にはどのような内容が? 企業でクレーム対応を担当した経験のある会社員1030人が、実態調査に回答しました。
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コロナ禍でカスハラが「増えた」と考える職種・業種とは
株式会社エス・ピー・ネットワークは2021年3月、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関する実態調査を実施しました。回答者は企業でクレーム対応を行った経験のある20~60代の会社員、男女1030人です。
まず「あなたは直近2年間でカスタマーハラスメントが増えていると感じますか」という設問から見てみましょう。最も多かったのは62.8%の「増えているとは感じない」、最も少なかったのは5.5%の「減っている」でした。
また、「新型コロナ禍以前から増加しており、直近2年間でさらに増加した」(17.7%)と、「新型コロナ禍以前はそれほど増加していなかったが、直近2年間で増加した」(14.0%)の「増加」派を合わせると31.7%に上りました。このことからも、新型コロナの影響は限定的であると読み取ることができます。ただし「増加」派に対する別の設問を見ると、増加を感じている職種・業種には傾向があるようです。
【増加派:直近2年間でどの程度増えたと感じるか、感覚値(%)で増えた割合をお答えください】
1位「サービス業(学校・教育産業)」 79.50%
2位「サービス業(旅館・宿泊所・娯楽業)」 51.25%
3位「サービス業(医療・介護・薬事)」 44.72%
やはり、サービス業が高い傾向にありました。学校・教育産業では「最大500%増加」という回答も見られるなど、この2年間で「カスハラが急増した」と感じている学校・教育関係者は多いようです。
「2020年1月以降の新型コロナ禍において、カスタマーハラスメントが増えている(直接対応した案件以外にも、身近で見聞きした事案も含む)と感じますか?」との設問でも、「変わらない」(57.5%)が最も多く、次いで「コロナ禍の影響で増えていると感じる」(21.6%)、「コロナ禍の影響ではないが増えていると感じる」(15.2%)、「むしろ減った」(5.7%)と続きました。
ここでの「増えている」派にその要因を尋ねる設問では、以下の声が寄せられています。
【カスハラが増えていると回答した理由:自由回答】
「過度な報道によりカスタマーサービスへの要求度が上がり権利主張がおかしな人が多くなっている」
「新型コロナの影響も少なからずあるとは思うが、それ以外にも高齢者のクレームがかなり増えているように思われる」
「主に量販店向け食品製造業界だが在宅の時間が増え、商品の使用頻度が増えた一方で、その分クレーム件数も増えているのではないかと感じる」
「機械化が進み、操作が分からずにイライラしてしまうお客様が店員にあたることが増えた他、新型コロナ禍で人出が減り、待つことに抵抗を覚えてしまったことにあると思います」
「ストレスのはけ口として購入元や取引先に対して執拗なクレームを言ってくる人が増えた」