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スーパーの女性店員、筆談の常連客から渡された“労いのメモ書き”にネット涙 接客業は「毎日小さな奇跡にあふれている」
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勤務先のスーパーに来る、耳が不自由な男性の常連客。いつも筆談でやりとりをしていて、ある日、手渡されたメモに「ありがとう」の言葉が――。従業員の女性は、まごころのこもったメッセージを受け取り、涙を流したと言います。ネットで「泣けた…」と感動を誘った交流エピソードについてお話を伺いしました。
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接客業のやりがい 「とにかく毎日喜怒哀楽さまざまな小さな奇跡にあふれていると思っています」
黒いペンで、ひらがなで書かれた「ごくろうさま ありがとう」の文字。心を込めた筆跡が見て取れます。
SNSで流れてきた“良かったニュース”を挙げるテーマに合わせて、女性は投稿しました。
「最近じゃないんだけど、勤め先(スーパー)によく来る耳が不自由な年配の男性。毎回筆談でなんとか対応してて『不便かけて申し訳ない』って思ってたら、ある日その筆談のメモに『ありがとう』って書いて帰られた。思わず涙でた。接客業って辛いけど、こんな奇跡があるからやめられない」。約8年前の出来事ながら、感激のストーリーを紹介しました。
女性は当時はレジ担当で、サービスカウンターの責任者でした。現在は「某2県担当のエリアマネジャーをしております」と言います。
常連客の男性は「おそらく70代くらいの男性で、こちらが顔を忘れないくらいの頻度で来られていました。いつもお一人でした」。女性が配属されているサービスカウンターに来る時は、商品の有無などの問い合わせが多かったように記憶しているそうです。「クレームでの対応は一度もありませんでした。私の部下も同じく筆談での対応でした」と振り返ります。
投稿は、1.7万件以上の“いいね”を集めています。大反響で、「やだ 泣けた…」「主様の『不便かけて申し訳ない』って気持ちが伝わってたんですね。泣きました」「心のこもった言葉ですね。こんな筆談をいただけるなんて幸せだと思います」「その方にとっては、本当に救われたんじゃないでしょうか? こういう障害がある方に対して、優しい世の中になってもらいたいですね」など、感動の声が続々と寄せられています。銀行の窓口業務の従事者からも、「接客業悪くない!」と共感のコメントが届いています。
「ありがとうのメモの写真を今でも時々眺めて励みにしています」
実は女性のご両親も困難を抱えて暮らしていたそうです。「亡くなった私の両親も障がい者で(父は片目義眼、母は人工肛門と人工膀胱の装着者でした)、いつも周囲に気を遣って生活をしていました。もしかしたら障がい者の方に対して、遠慮されて生活されてないかな? とおもんぱかる感覚が他人より鋭かったかもしれません。それだけに本当にうれしかったし、ありがとうのメモの写真を今でも時々眺めて励みにしています」。
年配男性の現在のことは分からないと言いますが、「元気だといいですね」と思いをはせます。このメモ書きは、今も人生において、活力をもらえる大事な存在になっているとのことです。
接客業という職業は、さまざまなタイプの客を相手にする大変さがあり、時にクレームを浴びせられるなど、きついことも少なくないでしょう。それでも、大きなやりがいがあります。
女性は長年の勤務経験で、いくつもの印象的な出来事に巡り合ってきました。「15年ぶりに同じ店に転勤した時に、お客様が私を覚えておられたこと。豪雨災害の時に自社の店舗の周りが被災し、応援に駆け付けた時にお客様から『あんたらは偉い』と喜んでもらえたこと。夜遅く突然折り紙の鶴を折らされたこと(千羽鶴を明日までに折ってくるよう町内会で頼まれたが折り方を忘れ、あのスーパーのサービスカウンターの人なら折ってくれるかも……と思ったらしいです)。とにかく毎日喜怒哀楽さまざまな小さな奇跡にあふれていると思っています」。こう実感を込めます。
明日もまた、元気と勇気をもらえる「小さな奇跡」が起きるといいですね。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)