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「小さな独立した雲からの降水、そして数分で力尽きる」 海上で目撃 内航船船長がとらえた自然の神秘に反響 「はっきりわかる」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

船長が語る珍しい気象現象

数分前まで雨を降らせていた雲が一気にしぼんでいる【写真提供:大吟醸船長(@capttsune)さん】
数分前まで雨を降らせていた雲が一気にしぼんでいる【写真提供:大吟醸船長(@capttsune)さん】

 投稿者の大吟醸船長(@capttsune)さんは、貨物船・大峰山丸の船長を務める46歳。この写真が撮影されたのは、8月24日の午前中のことでした。高松から沖縄の中城へ向かう航海途中、沖永良部島東側海域で出合った光景だといいます。

「雄大積雲からその部分だけ雨が降っているのはよく見る景色ですが、あんなに小さな雲から降水しているのはとても珍しいんです。フォロワーさんに気象予報士の方も何名がいらっしゃるので、撮影して投稿しました」

 この小さな雲からの降水は、専門的には「尾流雲(びりゅううん)」と呼ばれる現象だそうです。大吟醸船長さんの説明によると、「雄大積雲の雲頂部分が風で流されて分離し、尾流雲を形成したものと思われます」とのこと。写真の撮影時間を確認すると、1枚目から2枚目までわずか4分という、短時間での雲の変化だったそうです。

 海の上という特別な環境で働く大吟醸船長さんならではの視点も、興味深いものです。「気象海象が大きく影響する仕事なので、気象に関する知識も必要です。YouTubeに動画をアップしていますが、台風やガストフロントの通過など、本当にさまざまな気象状況に遭遇します」と職業柄、多彩な自然現象を目撃する機会が多いと教えてくれました。

子どもの頃からの夢を実現

 船長という職業に就いたきっかけについて尋ねると、温かい思い出を語ってくれました。

「船で仕事をするのが、子どもの頃からの夢でした。小学校の文集にも『将来の夢、船乗り』と書かれています。航海士として船に乗り、30歳で船長になりました」

 現在は、内航船の船長として活躍する大吟醸船長さん。内航船とは、日本国内の港と港を結んで貨物や旅客を輸送する船のことで、私たちの生活を支える重要な役割を担っているものの、一般にはあまり知られていない存在です。大吟醸船長さんは「一般にほとんど認知されていない内航船の世界を、もっと広く知ってもらいたいと思い、Xなどで情報発信をしています」と、業界の認知度向上にも取り組んでいます。

 海の上から見上げた空で起きた、ほんの数分間の出来事。それは自然の壮大さとはかなさを同時に感じさせる、貴重な瞬間でした。

(Hint-Pot編集部)