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「みんな気にしない。ひどい」 アメリカと日本のかけ離れた衛生面の常識 日本人が見た驚きの光景とは

公開日:  /  更新日:

著者:Yo

青空が広がるアメリカの公園【写真:Yo】
青空が広がるアメリカの公園【写真:Yo】

 自分で出したゴミは決まった場所に捨てるか、持って帰るのが常識とされている日本。街を歩くと、ゴミ箱がほとんど見当たらないのに、路上にゴミが落ちていないことを称賛する外国人は少なくありません。海外で暮らしてみると、日本との違いを目の当たりにして、逆に驚かされることもあるようです。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに住むYoさんが、アメリカ暮らしの実情を綴るこの連載。第5回は、路上で目撃したポイ捨てについて紹介します。

 ◇ ◇ ◇

公園の周りがゴミだらけ

 気持ち良く晴れた土曜の午前10時頃。日課のランニングを終え、公園でくつろいでいると、3列シートの乗用車が目の前の路上に停まりました。運転席から降りてきたのは40代くらいの男性。手にしていたのは、取り外し可能な箱形のドリンクホルダーでした。

 歩道と車道の間にある1メートル半ほどの芝生エリアに向かった直後、「カンッ!」とホルダーを縁石に叩きつけました。なんと、中に入っていた、レシートやタバコの空き箱などのゴミを捨てていたのです。5メートルほど先には公園のゴミ箱があるのに……。きっとこれが日常なのでしょう。彼に負い目はなさそうです。

 歩道には、彼が捨てたもの以外にも、ゴミが散乱していました。カリフォルニアの快晴の空、整備された芝生など美しいはずの街並みが台無しです。中心部のダウンタウンまで車で20分ほどのエリアですが、辺りはどこもこんな感じです。

 ほんの数秒歩けばゴミ箱があるのに、なぜでしょう? 筆者が通う語学学校のカナダ人先生に聞くと、「早くて簡単なだけ」と平然と答えました。ただ、「日本ではそんなことしないでしょ? カナダ人もしません。私たちも本当に嫌い。アメリカ人だけよ」と、表情を曇らせます。

 日本と同じく、カリフォルニア州でもポイ捨ては違法です。廃棄物を適切な場所以外に捨てる行為は禁止されており、初犯は250ドル以上1000ドル以下の罰則が科されます。ただし、取り締まりがゆるく、軽微なポイ捨てでは捕まらないのが現状のようです。

小学校でも教わらない美化への意識

 筆者は国際大会で来日したアスリートを多く取材した経験がありますが、彼らは「日本の街はきれい。道にゴミがない」と口をそろえて称賛します。もちろん場所によりますが、リップサービスではありません。日本人は幼い頃から「来た時よりも美しく」と教えられ、「ゴミはゴミ箱に」が当たり前です。

 一方、アメリカの小学校では、ゴミ箱があっても、その場にポイッと捨てて済ませる子もいるそうです。「学校には用務員がいます。誰かが掃除してくれるんです。だから、子どもたちに自分で片付けるよう強制することはないんですよ。残念だわ」と先生は語ります。

「日本がこちらの学校とまったく違うのは知っています。アメリカの子どもたちはそんなことを教えられていません。それが重要なことではないとされているから。ええ……ひどいですよね」

清掃業者の仕事は「良い状態に保つこと」

 サッカー・ワールドカップでは、試合後に日本人サポーターがゴミ拾いをする姿が話題になりました。ただ、その度にネット上では「清掃業者の仕事を奪う」という指摘もあります。

「確かにそう言う人もいるかもしれないけれど、彼らの仕事は落ち葉とかの掃除。施設内を良い状態に保つことです。でも、ゴミがあるから拾わないといけない。本来ならする必要がないはずなのにやっています」

 どの国であっても、青空の下で気持ちよく過ごすには、やはり街が清潔であることが欠かせません。アメリカで暮らすなかで、改めて実感したのは「日本の街は本当にきれいで安心できる」ということ。ゴミ箱が少なくても誰もがマナーを守るという意識が、日本の清潔な環境を支えているのでしょう。

(Yo)

Yo(ヨウ)

新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。