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植物が弱るのはなぜ? 酷暑の水やり&肥料の落とし穴をプロが解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:のなか りえこ

夏に植物へ水やりをする際に注意したいこととは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
夏に植物へ水やりをする際に注意したいこととは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 9月に入ったとはいえ、猛暑が続く日本。もはや災害級ともいわれる暑さにぐったりしてしまうのは、人間や動物だけではありません。庭やベランダで育てている植物たちも、知らず知らずのうちに暑さでダメージを受けています。そんな季節に大切になってくるのが、水やり。暑い時期の水やりの方法や、気をつけなければならないことについて、フラワー&グリーンコーディネーターののなかりえこさんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

正しい水やりで暑さを乗り切ろう

 真夏の強い日差しの下、木々の緑が輝いて見える一方で、見た目とは対照的に、暑さに参っている植物も少なくありません。庭やベランダで元気をなくした植物を見て、慌てて水をあげたのに回復しない……という経験をされた方もいるのではないでしょうか。

 たっぷりと水をあげることで、新鮮な空気を土の中に送り込むことができ、根に酸素が行き渡ります。そのため、水は十分な量の水は必要ですが、与え方を間違えると逆効果になることも。そこで、植物を守るための水やりのポイントを紹介します。

○水道から出る水の温度を確認する
 暑い日は蛇口をひねると、最初はお湯のような水が出てくる場合があります。温度が上がった状態で植物にあげるのはよくありません。少し出しっぱなしにして、温度が下がったことを確認してから与えてください。

○日中の水やりは避ける
 炎天下での水やりは根を傷める原因となり得ます。とくに気温が高い日中に水やりをすると、あげた水が温まり、蒸れた状態になることで植物を弱らせる可能性があります。夜や早朝の涼しい時間帯、または夕方に行うようにしましょう。

○カラカラになってしまう植物にはたっぷり水をあげる
 カラカラになってしまった植物は、水切れでしおれてしまうので、まずはたっぷりと水をあげてください。一方で、サボテンや多肉植物のように乾燥に強く、過湿を嫌う種類もあります。そうした植物は、土がまだ湿っているのに続けて水を与えると、根腐れを起こすことがあります。夏場でも、土の乾き具合や植物の性質をよく観察してから水をあげることが大切です。

○日向の鉢植えは鉢が熱くなっていないか確認
 鉢植えは、強い日差しで鉢そのものが熱くなっていると、水をあげてもすぐ温まって蒸れ、植物を弱らせてしまうことがあります。ただし、葉がぐったりと下を向いているなど明らかに水切れしている場合は、そのまま放置すると回復が難しくなります。そんなときは応急的に水を与え、可能であれば鉢を日陰に移してあげましょう。

暑い時期は肥料の与え方にも注意

 また、水と一緒に、活力剤(栄養剤)や肥料を与える場合もあるでしょう。暑さによって活力剤の効果が薄くなるということはありません。ただし、肥料については気をつけたいことがあります。基本的に、多ければ良いというものではなく、固形でも液体でも与えすぎは植物に負担になります。

○固形肥料
 一般的な固形肥料は本来、ゆっくり溶けてじわじわと効いていくものですが、高温だと早く溶けてしまい、濃度が上がり一気に大量の養分を摂取することになってしまいます。悪影響になる可能性があるので、春秋の半分くらいの量にするなどして、与えすぎに注意してください。

○液肥
 即効性があり、肥料不足が原因であれば効果を発揮します。しかし、株が弱っているときに高濃度で与えるのは逆効果です。必ず希釈倍率を守り、様子を見ながらさらに薄めても構いません。商品によっては季節による希釈倍率が説明されているものもあります。ストレートタイプやアンプルタイプも、水で薄めて使用できます。

 なお、元気がない原因が肥料不足とは限りません。根腐れや水やりの不具合、病気などが原因の場合は、まずその要因を取り除くことが大切です。

 暑い日が続くなかでも、元気に育つ植物の姿は見ている人に活力を与えてくれます。水やりや肥料のポイントをしっかり押さえ、グリーンライフを楽しみましょう。

(Hint-Pot編集部)

のなか りえこ

フラワー&グリーンコーディネーター。インテリア商材を扱う仕事から花の世界へ。現在はフリーで活動中。花と植物に関する提案・制作(装花・装飾・植栽など)を中心に行う。
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