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旬のリンゴ 「冷やしたほうが甘い」のは本当? 栄養士が教えるNGな保存方法とは
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教えてくれた人:和漢 歩実

人類が食べた“最古の果物”といわれるリンゴ。食べやすく、栄養価が高いのが特徴です。丸ごと常温保存するイメージですが、冷やしたほうが甘いといわれることもあります。実際のところ、どうなのでしょうか。保存方法も含め、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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低温で甘味が増すのは、果糖の影響
リンゴを冷やすと甘く感じるのは、リンゴに含まれる果糖(フルクトース)が影響しています。果糖が、低温で甘味が増す性質を持っているためです。常温保存でもかまいませんが、もし甘味を感じたい場合は、乾燥しないように1個ずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて口を閉じて、冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。
一般的に、リンゴはほかの果物と比べると日持ちしやすいですが、温度の変化の影響を受けやすい性質があります。冷蔵庫の野菜室に入れたら、食べるまで出さず、冷蔵保存しておくほうが良いでしょう。品種によって違いはありますが、1~2か月は日持ちします。
リンゴは、収穫されたあとも呼吸を続けます。自らの熟成を進める成長ホルモン・エチレンガスを出す性質があるため、そのまま保存するのはNGです。近くにあるほかの野菜や果物の成長が進み、早く傷んでしまう原因にもなります。気をつけましょう。
栄養豊富なリンゴ ただし食べすぎには注意
リンゴの主成分は、エネルギー源である糖質(果糖、ブドウ糖、ショ糖など)。そのほか、機能性成分であるポリフェノールや食物繊維、カリウムなども含まれており、栄養面で優れた果物のひとつです。
「1日1個で医者いらず」といわれるリンゴですが、厚生労働省は、果物を1日200グラム程度食べることを推奨しています。大きさにもよりますが、一般的なリンゴ1個(250グラム)の可食部重量が約210グラムなので、量としては適しているといえるでしょう。
しかし、前述した果糖をはじめ、ブドウ糖やショ糖といった糖質を含みます。そのため、血糖値が気になる人は1日1個ではなく、少量を日々の食卓に取り入れましょう。
リンゴは熱してもおいしい! 味が濃厚なものを選ぼう
リンゴは熱に強いため、ほかの果物と異なり、加熱による栄養価の損失が少ないといわれています。冷やしてそのまま食べる以外に、焼きリンゴやアップルパイなどにしても、栄養はそのままでおいしさを味わえるでしょう。
甘味が強いもの、酸味が強いものなど品種によってさまざまですが、甘いリンゴを選ぶ際は、全体的に赤くて、色ツヤの良いものを選びましょう。おしり部分が緑がかっていたり、全体的に色ツヤやハリがなくなったりしているリンゴは、甘くない可能性が高いです。
さらに、おしり部分が左右対称にくぼんでいるものや、ツルが太くて変形していないものは、甘味が強くて味も濃厚な傾向にあります。秋の実りを存分に楽しみたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
