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「あまりにも残酷」子宮摘出患者と新生児が同じ病室に…「産科と婦人科は分けて」切実な訴えが反響
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妊娠・出産と婦人科疾患の治療、全く異なる医療のニーズが同じ診療科で扱われることについて、ネット上で疑問の声が上がっています。婦人科疾患により卵巣の摘出手術を経験した女性の切実な訴えには、共感の声が多数寄せられました。一方で、医療現場ではなかなか思うようにすみ分けが進まない事情も……。投稿者の女性に、賛否を集めた投稿の真意を聞きました。
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ステージ4の乳がんで左胸の全摘手術や右卵巣の一部を摘出、治療と並行して妊活も
「ずっと思ってきたことを言ってもいいでしょうか…
産科と婦人科は 分けてほしいです。
診察スペース、待合室、入院病棟など…。
子宮の摘出をした方が同室内で赤ちゃんの泣き声を聞きながら過ごす…。
この気持ちを想像していただきたいのです」
今月中旬、SNS上に投稿された切実な訴え。反響は大きく「お気持ち痛いほどわかります…」「これ分かるなあ…ワガママではないと思う」「これは昔から思ってました。あまりにも残酷だって」「気持ちはわかるけど分けても経営が成り立つ規模の病院じゃないと無理」「決して想像していないわけではなく、対応しきれないのが現状かと思います」など、さまざまな声が寄せられています。
投稿者はステージ4の乳がんで、左胸の全摘手術や右卵巣の一部を摘出した経験を持つ29歳の純(@OOR_AM_BOC)さん。夫との話し合いの末、現在は治療と並行して妊活も行っており、体外受精を含めた不妊治療を行っています。
「大学生の頃、右卵巣の手術を受けた際、近所の方が偶然 同じ病院、同じ病棟で出産されていました。その方が赤ちゃんを愛しそうに抱える姿を見て、私は病室に戻り涙しました。その後も定期的に経過観察で産婦人科に通わねばならず、同じ待合室で妊婦さんや小さなお子さんを連れた方々を見て、胸が締め付けられる思いを幾度も経験しました。また、母からも子宮全摘手術を受けた際、同室の新生児の泣き声がつらかったという話を聞きました。もしかしたらSNSにも同じつらさを抱えている方がいるかもしれない、そのつらさを共有したいと思い投稿しました」
反響は大きく、共感の声が多数上がった一方、現在の日本の診療体制では人材不足や経済的な理由から、産科と婦人科を分けることが非常に難しいという医療従事者からの指摘も多く寄せられたといいます。また、一部からは「病院を選べ」「金を払って個室を使え」といった心ないコメントも届いたそう。
一連の反響について、純さんは「まさかこんなにも多くの共感を得られるとは想像していませんでした。多数の女性がつらい思いをしていることに胸が痛くなりました……。また、医療従事者の方々の声もいただき、今の日本の診療体制が抱える事情も見えてきました。中には否定的なコメントもあり、全ての方から共感を得ることは難しいことだと実感すると同時に、匿名だからこそ、もっと意見の伝え方を学んでいただきたいなとも思いました」と話しています。
出産を望む女性と、婦人科疾患に抱える女性が同じ空間にいることの心理的負担。それは個人的な悩みではなく、医療制度全体に関わる課題でもあります。純さんが投げかけた問いは、多くの女性たちの心に響いています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)