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「本当に自分勝手」 アメリカの電車内で見た異様な光景……日本とは異なる文化に衝撃 「日本人は善人」
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日本の公共交通機関では、混雑時でも自然に詰めて座ったり、荷物を膝に置いたりと、周囲への配慮が日常的に見られます。そのような光景が、日本の美徳とされることも。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに住むYoさんが、現地の生活事情などを綴るこの連載。第14回は、アメリカの電車で感じた、日本との文化の違いについて紹介します。
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電車内に広がる、日本と異なる光景
筆者がロサンゼルスで利用している電車は、進行方向を向いた2人がけの座席が並んでいるタイプです。ある日、電車に乗ると、ほとんどの乗客が通路側に座り、窓側は空席のままでした。
なかには、窓側の席に荷物を置いていて、我が物顔で2席使っている人も。ほかの乗客が乗ってきても、荷物をどけたり、窓側の席に詰めたりしようとする人はいません。
あとから乗った人は立つか、別の車両へ移動しているのを見て、日本にはない光景だと感じました。
ただし、これは時間帯や路線、地域によって違いがあり、通勤ラッシュ時は詰めて座る人もいます。昼間であることや、治安上の理由で空席を確保している場合もあるようです。
座るには声がけが必要
筆者が通う語学学校の先生に聞くと、「アメリカでは、隣に誰も座らないようにする人が多いの。みんな他人との距離を大事にするのよ」とのこと。知らない人と席を共有するよりも、自分のスペースを確保したいという心理が働くそうです。とはいえ、お願いすれば席を譲ってくれる人がほとんどだとも教えてくれました。
「日本人は私たちより善人だし、こういう状況でもうまくやるでしょう。私たちは得意じゃないの。最初は、私も通路側に座るわね。私たちにはコミュニティ主義という文化がないから。とくにアメリカ人は、本当に自分勝手。個人主義の文化だから、自分がまったく問題ないと思っていることに対して、関心がないのよ」
日本の公共交通機関では、混雑時でも自然に席を詰め、荷物を膝に置くなどして、周囲に配慮する光景が見られます。言葉にせずとも、他人への思いやりが行動に表れるこの“無言のマナー”は、日本独自の文化として定着しています。
一方、ロサンゼルスでは、座席を探す乗客が意思を伝えるのが一般的のようです。もちろん、ご年配や体の不自由な人を見かければ、率先して席を譲る人もいます。
「お願いすれば、絶対に座らせてくれるでしょう。彼らも衝突が好きじゃないからね。でも、最初は誰も来ないことを望んでいるはず。だから、座りたいなら何か言わないといけない。彼らは、自分から席を移動することはしないから」と先生は話します。
お互いの領域を明確にする文化のなかでは自然な行動ですが、周囲を気遣い、先回りして配慮する日本の習慣は、独特の温かさを感じさせます。日本特有の、他者に気配りを欠かさない文化は、実は暮らしやすさを支えているのかもしれませんね。
(Yo)
Yo(ヨウ)
新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。
