海外ニュース
「やっぱり買わないと言えず…」 アメリカでの買い物のしづらさに困惑…日本人が店員と気まずくなった理由とは
公開日: / 更新日:

日本のスーパーケットや商業施設では、店員や防犯カメラなどで日常的に万引き防止策がとられていますが、秩序が保たれているため、買い物中に不安を感じることは少ないといわれます。万引きがあとを絶たないというアメリカでは、スーパーの入り口に警備員が常駐し、店内でも対策が取られています。ただ、利用者によっては買い物をしづらいと感じることもあるようです。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに住むYoさんが、アメリカ暮らしの実情を綴るこの連載。第7回は、スーパーでの買い物中に困った話です。
◇ ◇ ◇
スーパーの一部商品はカギ付きで展示
インスタントコーヒーを求め、スーパーに行ったときのこと。陳列エリアに到着すると、瓶はカギ付きのガラスケースに並べられていました。商品を手に取って、見比べてから決めたいところでしたが、店員にカギを開けてもらわなければラベルを細かく確認できません。
日本の倍くらいの広さがあるアメリカのスーパー。近くに店員が見つからず、一列ごとに探して回りました。数分後にようやく見つけた女性店員に、カギを開けてほしいとお願いしましたが、作業中の彼女は眉間にシワを寄せ「カギは開いているでしょ!?」とイライラをぶつけてきました。
確かに閉まっていたことを伝えても、「もう一回、確認してきてよ!」と取り合ってもらえず、ひとりでコーヒーエリアに戻りました。当然、カギはかけられたままです。再び彼女の元に向かい、状況を説明。すると、ため息をついて「どれ?」と語気を強めながらカギを開けてくれました。
言わずもがな、開けたら閉めないといけません。隣に立つ彼女のプレッシャーに押され、商品を見比べることもなくひとつを選択。本来なら何も気にする必要はないのですが、仕事を中断させ、コーヒーエリアまで歩かせたことに少し負い目を感じてしまいました。
ホームセンターでも「やっぱり買わない」と言えず
ホームセンターでタンブラーを買った際も、商品はカギ付きのガラスケースの中でした。カギを開けてもらってから手に取り、使い勝手を確認。購入する気になれなかったものの、無言のまま真横にいる店員との間に気まずさを感じ、「やっぱり買わない」と言えず商品を持ってレジへ……ということもありました。
こうして厳重にカギがかけられているのは、万引き対策のためです。店によって異なりますが、比較的高価なパソコンやアクセサリー、小物はもちろん、歯磨き粉やシャンプーなどの日用品など、盗まれやすいものはカギ付きのガラスケースの中に並んでいます。そのため、商品を手に取りたいときは毎回、店員を呼ばなければなりません。
時計やアクセサリーなどの高級品ならまだしも、購入頻度の高い日用品でわざわざ呼び寄せるのは、少し手間に感じます。また、「こんなことで手間をかけさせてしまって申し訳ない」と思わず気後れすることも。
こうした小さな手間や気まずさを経験すると、普段は意識せずに受けていた、日本の丁寧な接客や行き届いたサービスのありがたさを改めて実感します。日本での買い物がどれだけ快適で、気持ち良く利用できるかを感じさせられる瞬間でした。
(Yo)
Yo(ヨウ)
新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。
