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「お前、何やっているんだ!」 アメリカのビーチで突然、注意され困惑 日本人男性が「なるほどな」と思った理由
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子どもを守るべき教師が事件を起こしたら、その後どうなるのか。国によって対応は大きく異なるでしょう。海外で暮らしていると、そんな制度の違いがより鮮明に見えてくることがあります。妻の海外赴任に伴い、アメリカ・ニューヨークで駐在夫、いわゆる「駐夫(ちゅうおっと)」になった編集者のユキさん。この連載では「駐夫」としての現地での生活や、海外から見た日本の姿を紹介します。第27回は、ニューヨークのビーチでの体験をきっかけに、性犯罪の処罰のあり方について考えます。
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危うく児童ポルノ法に違反するところだった
今年の夏は日本も酷暑とのことですが、ニューヨークでも、北米を覆う高気圧が原因となるヒートドーム現象が発生しており、連日の熱波が続いています。そんなときは、むしろ暑い夏を堪能しようとビーチへと向かいます。
ニューヨークには、自宅のあるマンハッタンから1時間~1時間半程度で通えるビーチが、けっこうあります。
身近なのが、ブルックリンにあるコニーアイランド。7月4日の独立記念日にホットドッグの早食い大会が開催されることでも有名で、日本人の小林尊さんがこの大会で6回の優勝を飾るなど、聞き覚えのある人もいるかもしれません。ほかにも、同じブルックリンにあるブライトンビーチや、サーファーに有名なロカウェイビーチなどがあります。
そういった近郊のビーチのひとつであるロングビーチを訪れたときに、肝を冷やすことがありました。
コニーアイランドなどに比べると、ロングビーチはそれほどツーリスティックなところではありません。平日の昼間だったこともあり、人もまばらです。穏やかな水平線の景色がきれいで、砂浜の上のデッキのところから、スマートフォンで写真を撮っていました。
すると、下から「お前、何やっているんだ!」と声がします。砂浜にはシャワーがあり、多くの子どもたちがシャワーを浴びていました。
なるほどなと思いました。
学校行事か何かで、教師が児童を引率して来ていたのでしょう。教師がやってきて、カメラを見せろと言いたてます。もちろん、こちらは景色を撮っていただけなので、撮影されているものを見せると、その教師は去っていきました。
ただ、もし児童が写真に写り込んでいたら、ずいぶんと面倒なことになっただろうなと思います。
教師の盗撮はどう処罰されるのか
ところで、私は日本の話題を、ネットニュースで日々チェックしています。先日、教師が児童を盗撮し、写真を教師内のSNSのグループで共有していたという事件が話題になったかと思います。アメリカでは児童ポルノについての処罰が厳しく、こういった教師による盗撮の事件であれば、非常に重い刑罰が下されることになるでしょう。
ニューヨークでは、教師が性犯罪を犯した場合、原則として教育免許は剥奪されます。未成年との性的行為や児童ポルノの所持・流通、不適切な身体的接触などがあった場合は、教育免許を維持できません。
児童の盗撮などは、児童ポルノ法により最大15年の禁固刑。また、有罪判決後には、20年以上にわたり性犯罪者として登録されることになります。
一方、日本ではどうでしょうか。教師が性犯罪を犯した場合、原則として、教育免許は失効または取り上げられます。
しかし、軽微な罪だとして執行猶予がついた場合や、不起訴になった場合は、教育免許が維持されることもあるのです。また、性犯罪での逮捕歴がある教師が、再び同様の罪を犯したというニュースを何度か見たことがあります。
今回の事件でどう処罰が下されるかは、これからになりますが、現場での再発防止はもちろんのこと、罪を犯した教師が厳しく処罰され、かつ二度と教壇に立てなくなる制度作りが必要ではないでしょうか。
(ユキ)
