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タマネギに芽が出ても食べられる? 生で食べすぎるのはNG? 栄養士が教える保存のコツと注意点

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

芽が出たタマネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
芽が出たタマネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 近年、栄養メリットが注目され、幅広い料理に大活躍の通年タマネギ。日々食卓に取り入れている人もいるでしょう。丸ごとなら日持ちするので、ストックしやすいところも魅力です。しかし使おうとしたら、タマネギから芽が出ていて、食べて良いものか迷ったことがあるかもしれません。タマネギについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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タマネギは一定期間が経過すると芽が出る

 タマネギの芽には毒性はないため、タマネギそのものも、芽もどちらも食べて問題はありません。一定期間が経過したタマネギは、芽が出てきます。栄養分が芽にいくので、タマネギ本体の風味や栄養が落ちている可能性があります。早めに食べ切るようにしましょう。

 タマネギの芽は、ネギと同じように薬味や炒め物、汁物の具として料理に使うと良いでしょう。芽が成長しすぎていると、食感が硬くなったり、辛味が強くなったりしておいしさが損なわれていることもあります。

 もし、タマネギから変な臭いがしたり、変色したり、やわらかかったりする場合は、腐っているので、食べずに破棄してください。

日持ちするタマネギの特徴と保存方法

 長持ちするタマネギを見分けるポイントは、全体が固く締まっていて、丸くて重量感のあるものを選ぶことです。とくに芽が出てくる先端部分は、傷みやすい箇所でもあるので、しっかりと締まっているものが良いでしょう。

 平らな楕円形のタマネギは熟しすぎている傾向にあります。表面に傷がなく、皮が渇いていて、ツヤのあるものが日持ちします。

 タマネギは丸ごとのまま比較的日持ちする野菜ですが、湿気があると傷みやすくなります。袋入りで購入した際は、ネットなどに入れて風通しの良い冷暗所で常温保存するか、または1個ずつキッチンペーパーなどに包んで、保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。

独特の辛味成分に栄養メリットがある

 日本の一般家庭にタマネギが広まったのは明治時代以降で、まだ歴史が浅い野菜です。1年を通して店頭に並ぶのは、乾燥させた「貯蔵もの」が出荷されるため。春先の収穫後にすぐに出荷されるのが、みずみずしい「新タマネギ」です。今の季節に出回るのは貯蔵された通年もので、特有の辛味があります。

 近年の研究では、このタマネギの辛味成分に、健康に役立つメリットがあることがわかっています。辛味の正体は、アリシン(硫化アリル)で、代謝を促し、疲労回復に欠かせないビタミンB1の吸収を促進する成分です。

 加えて、血流を促進する「血液サラサラ」効果や、抗菌・殺菌作用なども期待されています。水や熱に弱い特徴があるため、栄養メリットをいただきたい場合は、加熱よりは生で食べるのがおすすめです。

アリシンは刺激が強いため食べ過ぎには注意

 ただし、生のタマネギの食べすぎには気をつけてください。アリシンは、健康に役立つ反面、刺激が強い成分でもあるため、大量に食べると胃腸の粘膜を傷つけ、胃痛や腹痛などを起こすリスクがあるといわれています。

 殺菌作用も強いので、一度に大量に食べることで、腸内にいる善玉菌にも影響を及ぼす場合もあります。腸内環境を悪化させ、下痢や便秘などの症状を引き起こす可能性もあるため、注意してください。

 個人差はありますが、タマネギを生で食べる場合は1日50グラム程度を目安にしましょう。1/4程度(中サイズ)です。加熱するとアリシンの量が減るため、甘味が出て刺激や腸内への影響を抑えることができます。生と加熱をうまく使い分けることで、栄養とおいしさの両方を取り入れたいですね。

 芽が出ていても食べられるタマネギ。保存や調理法を工夫して、無駄なくおいしく活用しましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾