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「変わらずにあり続ける安心感」 横浜の老舗ホテルが昔と今の内観を比較 世代を超えて愛される姿に称賛

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ホテルニューグランド【写真:PIXTA】
ホテルニューグランド【写真:PIXTA】

 時代を超えて受け継がれる建物には、言葉では表せない重みがあります。横浜・山下公園前に位置するホテルニューグランドは、公式X(ツイッター)アカウント(@HotelNewGrand_)で開業98周年を報告。1920~30年代と2025年の同じ場所で撮影した写真を投稿し、9000件以上の“いいね”を集め話題になっています。

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時を超えて同じ場所で撮影された写真

「さまざまなことが変わりゆくなか、“変わらずにあり続ける安心感”や“また訪れたいと思っていただけるホテル”を目指して精進してまいります」

 そんなコメントとともに投稿された4枚の写真。1枚目と2枚目は、本館の大階段を写したものです。カラーの現代写真では、階段に敷かれた濃紺のカーペットが鮮やかで、手すりのタイルなども丁寧に維持管理されている様子が伝わります。対して、モノクロ調の古い写真では受付窓口が確認でき、開業当時の華やかな雰囲気が漂っています。階段や壁画、装飾的な天井、エレベーター上の時計といったアールデコ調の特徴は、時を経ても変わっていません。

 3枚目と4枚目は、タイル張りの壁を背景にした写真。現在は、木製のベンチが2つ並んで配置されています。一方、モノクロの写真には、布張りの肘かけ椅子と円卓、フロアランプが置かれてゴージャスな雰囲気に。当時の従業員らしき人物と利用者が会話しています。家具や用途が時代とともに変わりながらも、建物は変わらず受け継がれています。

 ホテルニューグランドは、関東大震災で壊滅的な被害を受けた横浜の、復興のシンボルとして誕生しました。銀座の和光や国会議事堂の設計を手がけた建築家・渡辺仁氏が設計し、横浜市認定歴史的建造物などに認定されています。開業当時から現存する本館は、マッカーサー元帥や“喜劇王”チャーリー・チャップリンなど、数多くの著名人を迎えてきました。

 また、シーフードドリア、スパゲッティナポリタン、プリン・ア・ラ・モードといった、今では誰もが知る洋食メニューの発祥地としても知られています。初代料理長のサリー・ワイルが生み出したこれらの料理は、日本の食文化に大きな影響を与えました。

 投稿には、9000件を超える“いいね”が。リプライ(返信)や引用リポストには「なくしたら2度と取り戻せないし、お金では絶対に買えないのが『歴史』ですよね」「やはりクラシックは永遠に不滅」「これからも山下公園、氷川丸とともに横浜の顔として歴史を刻み続けてください」「レトロ建築にうっとり」など、歴史の重みに感動する声が寄せられています。

 また、「夫の祖父母→父母→私たちと、3世代で挙式披露宴しました」「結婚式を挙げた思い出の場所」「40年以上前に泊まった思い出のあるホテル」と、家族の歴史とともにあるホテルとして、世代を超えた思い出を語る人も。

 さらには「ナポリタンの聖地!」「ドリア発祥の地」「ホテルニューグランドがなければ、ナポリタンはこの世になかったのかも」「一度は食べたいここの有名な洋食」と、名物料理を挙げるコメントも多数寄せられました。

 変わりゆく時代の中で、変わらずにあり続けることの価値。100周年まであと2年。新たな歴史のページを刻む姿が楽しみですね。

(Hint-Pot編集部)