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「フランスにはない」 フランス人が日本の電車を称賛 観光中に感動した配慮とは
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誰もが快適に過ごせるよう、周囲への配慮が重視されている日本。とくに電車では、順番を守って乗車することや、車内では静かに過ごすといった心遣が、一般的なマナーとして根づいています。こうした、日本人にとって当たり前のルールは、訪日観光客にとっても驚きのポイントになることがあるようです。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに暮らすYoさんが、現地の生活実情や外国人から見た日本の印象を綴るこの連載。第19回は、外国人が称賛していた日本の電車の光景についてです。
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日本観光で発見した制度
ロサンゼルスで出会った、20代のフランス人。彼は2年前に日本を訪れ、京都や大阪、奈良という“定番コース”を満喫しました。日本の印象を聞くと、「驚いたことがあったんだ」と切り出します。
「電車の特別な車両を見たよ。女性専用なんだよね。朝と夜のラッシュの時間にあるんでしょ? 京都から大阪に行くときに電車を使ったんだけど、それを見てびっくりしたよ」
日本では2001年3月に、現在のような女性専用車両が普及し始めたとされています。痴漢被害や迷惑行為などを避け、女性が安心して利用できることを目的として導入されました。インドやインドネシアなどでも運用例がありますが、欧米では乗客数の少なさや社会的な議論の多さなどを理由に、定着しないことが多いようです。
友人は「フランスにはクレイジーな人間がたくさんいる。痴漢に遭う女性もいるよ」と眉をひそめました。
「フランスには女性だけが乗れる車両なんてないけど、ハラスメントはたくさんあるから危ない。自分の身を守るために防犯スプレーを持っている人もいるけど、使うのは違法なんだ。なにか危険があったら、すぐに警察か知っている人に電話をするしかない。でも、実際はその場でそんな余裕なんてないよ」
フランス人「日本には配慮がある」
義務ではなく、鉄道会社が乗客への「お願い」として実施されていますが、女性専用車両によりさまざまな影響が生まれています。痴漢被害の有無にかかわらず、混雑した車内で男性に囲まれる不安を避けたい人や、若年層の娘を持つ保護者などにとっても安心できる環境でしょう。
「安全だからいいよね。女性にとって大切なことだと思う。日本はいろんなところに配慮があると思った」と、フランス人の友人は関心を寄せていました。
ロサンゼルスの電車にも、女性専用車両はありません。一人ひとりがマナーを守り、安心できる環境が整っている日本。だれもが安全に暮らせる社会を目指す姿勢は、大切にしていきたいですね。
(Yo)
Yo(ヨウ)
新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。
