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お受験で母子手帳の提出、なぜ? 出血多量が「合否に影響」の怪情報…幼稚園「発達段階の参考」、幼児教室「聞いたことがない」
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私立幼稚園の受験の際に、母子手帳の提出を求められることがあるという投稿がネット上で拡散、物議を呼んでいます。ネット上では「助産師から出血多量と記入してもいいか確認を求められた」「出生時のネガティブな情報が合否に影響するらしい」といった不安の声が広がっている一方、「都市伝説です」と一蹴する意見も……。ただ、実際に募集要項の中で母子手帳の持参やコピーの提出を求めている私立幼稚園も存在します。どんな理由があるのでしょうか。複数の幼稚園や受験対策教室に話を聞きました。
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出産時の出血多量でお受験が不利に? 真偽不明の情報に不安の声も
「出産後に助産師さんが気まずそうに『出血多量だったのですが母子手帳に書いていいですか? 嫌がる方もいて』と聞いてきて困惑したんだけど、出血多量で産まれた子は幼稚園や小学校のお受験で不利になることがあるらしい。さすがにキモ文化すぎる」
今月中旬、SNS上で拡散した助産師とのやり取りをつづった投稿。名門私立の受験を巡り、出生に関するプライバシーな情報が合否に影響を及ぼすとする内容に、ネット上では「そんなことで合否決めるのは狂気」「事実かどうか以前に、出産時の医療情報を“選別材料”にする発想がもう無理」「お受験界隈の闇の部分をこれ以上ない具体例で可視化してくれた感」「やってる事はカルテ改竄と同じ」「これは文化じゃなくて、ただの差別だと思う」といった疑問の声が上がっています。
「これ私も先生に言われたなぁ」「ウチもこれ助産師さんに確認されて、そんなことあるん!?!?てビックリしたやつだ」という体験談も寄せられた一方、「子供の頃、ワクチン接種記録の提出があったんで半世紀近くを経て都市伝説化したんじゃないですかね?」「これよく聞く話なんだけど、ほぼ都市伝説だそうです」といった意見も。投稿は7000件を超えるリポスト、14万件もの“いいね”が寄せられるなど、大きな反響を呼んでいます。
Hint-Pot編集部が実際に複数の私立幼稚園の募集要項を確認したところ、出願書類や見学説明会要項の中に「母子手帳の指定ページのコピー」「母子手帳持参」と記載されている例が数件確認されました。その中の1つである都内の私立幼稚園に、電話取材で理由を確認したところ、園長から「直近の健診結果などから成長度合いの参考としているもので、お子様がどの程度の発達段階にあるかを確認しております。出生時の記録を確認することや、記載されている内容が合否に関わるようなことはございません」と回答がありました。一方、同じく都内にある別の名門私立幼稚園では「出願に関するご取材は一切お断りしております」と回答を得られませんでした。
私立幼稚園や私立小学校の受験対策を行っているある幼児教室の担当者は「予防接種等の確認が主な理由かと思われます。出産のときの出血多量が合否に影響するという話は、こちらではちょっと聞いたことがありません」と話しています。
厚生労働省が2011年9月に行った「第1回母子健康手帳に関する検討会」の議事録によると、出席者の1人である大阪大学大学院人間科学研究科の中村安秀氏が「もう一つ今回問題になったのは、幼稚園・私立小学校などで、母子健康手帳の提示を求めることにより、そこは書いてほしくないとか、いろいろな意見があることでした。これは個人情報の保護という点から、かなりきちんと『そういうことはしてはいけない』ということを、本来言うべきだろうと思います」と発言しており、公的機関においても母子手帳の提示を求める事例が議論されていることがうかがえます。
母子手帳の内容は個人情報の最たるものであり、母子の健康を記録する大切な公的書類でもあります。家庭によって「お受験は人生の一大事」という場合もありますが、真偽不明の情報に踊らされることがないよう、ましてや出生に関する大切な記録を歪曲することがないように、正確な情報を残したいところです。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)