話題
緊急避妊薬が市販化、飲み物混入の悪用リスクは? 専門医は“男性側”による乱用を懸念
公開日: / 更新日:

女性の望まない妊娠を防ぐための緊急避妊薬(アフターピル)が2日、処方箋不要の市販薬(OTC医薬品)として、全国の薬局やドラッグストアなどで購入できるようになりました。購入後は直ちに薬剤師の前で服用することが条件となっていますが、ネット上では「他人の飲み物に混ぜて中絶させる事件が起きるのでは」といった悪用を危惧する声も上がっています。実際に悪用される可能性はないでしょうか。専門医に市販化への期待と懸念を聞きました。
◇ ◇ ◇
性行為から72時間以内に服用することで、妊娠を8割強程度防ぐ効果が期待
2日から販売が始まったあすか製薬の緊急避妊薬「ノルレボ」は、性行為から72時間以内に服用することで、妊娠を8割強程度防ぐ効果が期待されています。これまでは医師による処方箋が必要でしたが、今回OTC医薬品に承認され、処方箋なしで薬剤師による対面販売が可能となりました。購入に年齢制限は設けられておらず、未成年でも保護者の同意不要で購入が可能となっています。希望小売価格は1錠7480円(税込み)。購入に際しては、研修を受けた薬剤師の面前で服用することが必須要件となっています。また、避妊の可能性が100%でないことから、服用から3週間後に妊娠検査薬や医療機関の受診などで、実際に妊娠しているかどうか確認する必要があります。
薬局等で気軽に購入できるようになったことから、望まない妊娠や中絶を防ぐ効果が期待できる一方、ネット上では「よその妊婦に薬を盛って中絶させる事件が起きかねない」「人の命を奪うものを簡単に解禁するなんて」といった懸念や疑問の声も上がっています。
緊急避妊薬が悪用される可能性はあるのでしょうか。日本生殖医学会委員の杉山産婦人科・杉山力一理事長は「いわゆる他人に薬を盛って……という被害は考えづらい」と解説します。
「前提として、ノルレボは排卵を抑制・遅延させることで精子が着床しないようにするための薬で、すでに妊娠している人が服用しても効果はありません。これまでノルレボを始めとしたアフターピルは医師の診断が必要で、病院に行くというハードルが高く、望まない妊娠をする人が多かった。保護者やパートナーの同意は必要ないので、避妊に失敗してしまったとき、酔った勢いで関係の薄い人と行為に及んでしまったときなど、女性が自分で自分の身を守る手段になる。中絶が減る効果は期待できます」
女性が身を守るために効果が期待できると杉山理事長。一方、乱用の懸念もないわけではないと指摘します。
「避妊をしない安易な性行為が増える可能性はあります。値段も高く、吐き気や頭痛といった副作用もあるので、そう頻繁に服用する人はいないとは思いますが、男性側からアフターピルを理由に避妊を拒まれるケースも出てくるかもしれません。また、薬剤師がいないと販売ができないので、薬局ならどこでも買えるというわけではない。もしものために、近くに販売店があるか確認しておく必要はあります」
緊急避妊薬には妊娠を防ぐ一定の効果が期待できる一方で、絶対に妊娠しない薬というわけではありません。安易な利用が広がることがないよう、しっかりとした周知が求められます。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)
