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「理想的な映画の上映時間は92分」 3時間の超大作『国宝』をアメリカ人はどう見たか

公開日:  /  更新日:

著者:i-know

受け止め方の違いが興味深い

 では、どのような点に魅力を感じているのでしょうか。とくに多く挙がっていたのが、歌舞伎シーンのメイクや衣装、そしてきらびやかな舞台のセットです。「まばゆいほどの美しさだった!」と感嘆しているコメントも見られ、アカデミー賞においてメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされたのも納得といった感じです、

 では、物語についてはどうでしょう。これが残念ながら、「歌舞伎の世襲制度が理解できない」「オペラと同じように、事前に知識がないと歌舞伎シーンを理解することが難しい」というネガティブなコメントが目立ちました。文化的な前提知識の有無によって受け止め方に差が出ている様子もうかがえます。こうした点はアメリカに限らず、海外から日本の伝統芸能を見る際に共通して挙がりやすい視点ともいえるでしょう。

 全体として見ると、海外のレビューでは、まずその圧倒的な映像美や舞台の華やかさに強く惹きつけられる声が目立つ一方で、物語や制度的背景の理解には時間を要するという傾向が感じられました。

 一方で日本では、登場人物の関係性や葛藤に感情移入しながら、視覚的な美しさの奥にある儚さや重みを味わう見方が語られることも多い印象です。こうした受け止め方の違いも、本作の興味深いポイントのひとつといえそうです。

 海外で生活するなかで本作に触れたことで、あらためて日本文化の奥深さや魅力を再認識する機会にもなりました。「日本人としてこの作品に出合えて良かった」と感じさせてくれる、美しき一本です。

(i-know)

i-know(いのう)

大学卒業後、フリーランスライターに。お笑い雑誌やファッション誌で、著名人のインタビューを中心に活躍。34歳のとき日本のキャリアに一区切りをつけ、単身ニューヨークへ。その後、ハワイのロコ(地元民)と結婚し、現在は2人の子ども(8歳、6歳)をバイリンガルに育てるべく奮闘している。