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「日本では考えられない」 イギリス人の「液体ランチ」に衝撃 「日本のランチタイムは本当に天国」と感じた理由とは
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パブ飯は“まずい”時代から大進化

パブはフィッシュ&チップスやバーガーといった食事も終日提供するので、ランチタイムに食事をしに来る人ももちろんいます。昔はパブ飯というのは早くて安くてまずいご飯の代名詞だったのですが、昨今ではどこも革命的においしくなりました。
ちなみに、ロンドンでは1990年代からガストロパブというのが流行り始め、今ではけっこうな数が存在します。
ガストロパブはパブとガストロノミー(美食)を合わせた造語で、文字通りおいしい料理がウリのパブ。限りなくレストランに近いパブで、シェフがいたりコースになっていたりしてお値段もけっこうするので、庶民が日常的に使うパブとはちょっと違う存在です。
ランチに限らず、パブで飲み会のときは、基本的にイギリス人は何も食べないで飲み続けます。何か食べるとしてもポテトチップスとかナッツくらい。立ち飲みで延々とビールを飲み続けるのがイギリス庶民派スタイルです(イギリスは階級社会なので、階級によっても異なりますが)。
大人数でパブへ行くと大変な理由
パブで飲むときは、「ラウンド」という支払い方法が基本です。これは、何人かでパブに行った場合、ひとりが全員分の注文と支払いをし、それを順番に繰り返していく方法です。最初の人が全員分を支払ったら、次は別の人が全員分を支払い、一周するまで続けます。
一人ひとりが注文して支払うのは煩雑でお店の手間が大変なことから生まれたシステムとも言われていますが、何が大変って、全員の番が回り終わるまで帰れないことです。大人数で行くと永久に飲み続けることになるので、パブにはせいぜい4人くらいで行くのが理想です。
そんな感じで午後6時くらいから午後11時くらいまで何も食べずしかも立ち飲みなので、イギリス人とのパブ飲みは体力勝負になってきます。自衛策としては、パプに行く前に軽く食べるか、終わった後にフィッシュ&チップスやケバブを食べるのですが、これを繰り返していると確実に太ります。
イギリスのパブは雰囲気も良くて大好きですが、それでもいつも、バラエティ豊かなつまみと飲み物があり、食べながら飲める日本の居酒屋は世界一最高だと思うのです。
地域に根づく“行きつけパブ”の存在
イギリス人は誰でも行きつけのパブをオフィスと家の近くに持っています。パブは単なる居酒屋以上の存在で、エリアで働く人や住人の重要な社交場であり溜まり場です。
住宅街にあるパブはとくにそうで、お酒が飲めないおばあさんでもお仲間と連れ立ってパブに行き、おしゃべりに花を咲かせたりしています。ローカルなパブは、町や村のコミュニティーセンター的な存在なわけです。
なので、旅行者がローカルなパブになにげなく入ってしまうと、ちょっと居心地の悪さを感じたりもします。でも、これは仕方がないことだし、田舎のパブの中には、地元の新鮮な食材を使い、料理上手の主人が腕を振るって作る素晴らしくおいしい料理を出す店があったりするので、その町や土地のパブにはぜひ行ってみるのがおすすめです。
リキッドランチから話が大分それました。ランチにビール1.5リットルのみで午後の仕事に戻るというのは、日本では考えられないですよね。いろいろな店が、価格を抑えつつバラエティ豊かでバランスが取れた食事を提供してくれる日本のランチタイムは、本当に天国のようだと思うのです。
(斎藤 理子)
斎藤 理子(さいとう・りこ)
出版社で雑誌編集に携わったあと、イギリス・ロンドンなど海外に長年在住し、世界中をめぐって各地の食文化を体験。帰国後は日本国内外の食材生産者から、ミシュラン三つ星レストランや街角の立ち飲み店まで、幅広い食の現場を取材・執筆している。主な著作に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社刊)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版刊)がある。また、「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフによる連載記事を編集・監修した「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス刊)の編著者でもある。2011年には、イギリス政府観光庁よりメディアアワードを受賞。現在、やまがた特命観光・つや姫大使を務める。
