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「メーカーから完全に見放された」故障した電動ベッド→85歳父が修理 息子が明かした驚きの経歴

公開日:  /  更新日:

著者:佐藤 勇馬

メーカーも修理できない電動ベッドを直した85歳の父親【写真:投稿者提供】
メーカーも修理できない電動ベッドを直した85歳の父親【写真:投稿者提供】

 鍼灸(しんきゅう)院の開業以来、17年間にわたって施術を支えてきた電動昇降ベッドが突然故障。メーカーから修理は難しいと告げられ、途方に暮れていたところ、窮地を救ったのは85歳の父親でした。かつて自動車生産用の工業ロボットの製作に携わるなど、機械設計を手がけた元技術者。父親がベッドを修理するすぐ横で、息子は患者の治療にあたる――。そんな親子の“人助けの共演”を伝えた投稿が、SNSで話題になっています。一連の経緯や父親への思いについて、投稿者に話を聞きました。
 
 ◇ ◇ ◇

開業から17年間、一度も壊れなかった「相棒」が突然動かなくなる

「下がらなくなった高田製の電動昇降ベッド。メーカーからは、完全に見放されたんですが、見事に85歳の父が治しました。うちの父は、トヨタカローラのボディをオート生産する、工業ロボットの製作者なんですが、父が電動ベッドの配線をハンダで修理している横で、私が患者さんの難治の頸椎(けいつい)症を治療しているという、親子のコラボレーションが良き、でした」

 6日、こうXに投稿したのは、「こみこみ@鍼灸あまし師」(@oasiskomiya)の名前で発信する小宮豊一さんです。東京・JR板橋駅近くにある「オアシスはり灸治療院」の代表を務めています。自身も5歳で大病を患い、目に障害を負ったことから、30代で鍼灸師、マッサージ指圧師に。2009年8月に治療院を開業し、目の不調に悩む人を対象とした治療を中心に行ってきました。

 今回の投稿に対し、SNS上では「お父様やりますねー、格好いい!」「経験や勘、お金には代えられない人の素晴らしさを改めて感じました」「ウチの父と同世代、この世代の職人って本当にすごいですよね」「こんな85歳になりたい!」といった声が集まっています。

 小宮さんによると、故障したのは17年前の開業に合わせて購入した電動昇降ベッド。高さを滑らかに変えられ、足が不自由な患者でも安全に体位を変えやすい施術用のベッドです。これまで一度も故障したことはなく、小宮さんにとっては、長い年月をともにしてきた「相棒」のような存在です。

 異変が起きたのは8月2日の施術中でした。突然、上がった状態から下がらなくなったのです。

 翌3日にメーカーへ修理について相談。しかし、当時コントローラーの基板を製造していた会社が2020年に廃業しているため、修理できないとの回答だったといいます。何とか修理できないかと懇願したものの、答えは変わりません。小宮さんは「途方に暮れる思いでした」と振り返ります。

 そこで力を貸してくれたのが、85歳になる父親でした。

85歳の父が修理、その横では息子が患者を治療

 父親は20代前半から、トヨタ系列の関東自動車工業の工場で、主にカローラの組立生産ラインに従事。やがて生産ラインで使われるロボットなど機械の設計を担当するようになり、最終的には工場長を務めたといいます。

 小宮さんいわく、「手先が器用で根っからの技術屋気質」。仕事以外でも、自宅の床張りや壁のクロス張り、装飾棚などのリフォームを自分でこなし、趣味でバイクを作ることもあったそうです。

 父親は動かなくなった電動ベッドの配線を確認し、はんだを使って修理。そのすぐ横では、小宮さんが患者を治療していました。一方は、長年培った技術で壊れたベッドを直す父親。もう一方は、鍼灸師として患者と向き合う息子。偶然生まれた光景を、小宮さんは「親子のコラボレーション」と表現しました。

 そして、修理は見事に成功。上がったままだったベッドは、元通り昇降するようになりました。

「鍼灸院の運営には浮き沈みも多くありましたが、開業当初から、ともに時間を過ごしてきた相棒みたいなベッドでしたので、まだまだ現役で頑張ってほしいと思います」

 動かなくなった17年来の「相棒」に、再び命を吹き込んだ元技術者の父親。修理を終えた父親は帰り際、息子に「何かあったら、また飛んでくるからね」と声をかけました。

 小宮さんはそんな父親について、「いつまでも人の役に立ちたいと、ポジティブに他者と関わり、若々しさを保つ努力を欠かさない父。自分も、父のように年を取っていきたいという憧れであり、目標となっています」と語りました。

(佐藤 勇馬)