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子どもが破いた本 買い取るのが当たり前? 児童書コーナーでのトラブル 元書店員の本音が反響

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

フリースペースが設けられていることも多い児童書コーナー(写真はイメージ)【写真:写真AC】
フリースペースが設けられていることも多い児童書コーナー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 売り場の本を破損してしまったら、どうか正直に名乗り出て……。元書店員による、自身の体験を交えた切実な投稿がインターネット上で話題を呼んでいます。投稿者は元書店員として、5年ほど児童書、実用書、文芸書などを担当していたというこずえちゃん(@kozukozu1017)さん。共感を呼ぶ投稿に込めた真意を聞きました。

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元書店員による、自身の体験を交えた切実な投稿がインターネット上で話題に

「むかし書店員だった時。お客様から『すみません子どもが絵本を破ちゃったんですけど…』と言われても『だったら売り物にならないので、買い取ってもらっていいですか?』と言えずに『いいですよ。返品しておきます』と言うと決まって店長から後で怒られていた。でも『破いちゃったんです…』と申し出てくれる時は、まだいいほうで、本のシールが他の本に貼ってあったり、帯が破れていたり、付録がなくなっていたり、音が出なくなったりしていると、売り物にならない」

 今月14日、書店員の本音を赤裸々に語った投稿は、8000件を超えるリポスト(リツイート)や6.3万件の“いいね”を集めるなど話題に。投稿のなかでこずえちゃんさんは、快く返品交渉に応じてくれる出版社とそうでないところとに分かれること、子ども向けの絵本では実際に手に取って本をめくる楽しさを伝えるために、児童書売り場にフリースペースを設けている書店も多いことなど、現場の事情にも触れつつ「どうか破損した時は勇気を出して『破れたんですけど…』と言って欲しいと思う」と綴っています。

 さらに、続く投稿では「…やはり私は、書店員として、厳しく言えないのは致命的なようで、確かにそうだと思います。子どもや大人もせっかく書店に足を運んで、直接手に取って触れて、自分の目で見てくれているのだから気持ちよく、本を購入してもらいたいと思っていました」「今は、全てラッピング傾向にあったり、わずらわしさから、書店に足を運んで、手にとって本を買うことも少なくなってきている。『児童書のコーナーに力を入れるお店は伸びている』そう言われたのも、ずいぶん昔です。どうか街の本屋さんが、その街に残れますように…」という切実な思いも。

 一連の投稿には、「『お客様は神様』という言葉を勘違いしている客がいますね」「子どもが破損させたものを買い取らない人がいることにびっくりする」「お店の備品を壊した場合は店員さんに弁償を申し出て、子どもにも謝らせます。許していただいた場合はお礼を言わせます。親がマナーを教えるチャンスなのですよね。教えるのは親で、お店の方ではないのです」といった共感の声が寄せられています。

 今回の投稿について、こずえちゃんさんは「図書館で破れた本が多い、また大型の書店で児童書コーナーが死角になって万引きが多いとのニュースを見たのと、コンビニで売ってあった帯が破れた文庫本を購入したのがきっかけです。私が書店員をしていた頃も、親が自身の本を選ぶのに夢中になっている間に、子どもが児童書コーナーで本を破損してしまうことが多くありました。今回投稿したように、申し出てくれる人より黙って去ってしまう人が多かったと記憶しています。少しでも書店でのそうした被害やマナーを考えるきっかけになればと思い投稿しました」と経緯を説明。

 投稿の反響をめぐっては「子どもの破った本は親の責任とか、自分は黙って買っているという意見が多く驚いています。また、書店員や販売員だった方から、共感してくださるような意見もたくさんありました。図書館を引き合いに出される方もいます」と明かしつつ、「小さい子どもを連れていかないとか、児童書は見本以外シュリンク(フィルム包装)すればいいといった極端な意見ではなく、本を大切にすることを教えて、買うまで売り物を大切にする。書店はそんなお互いのマナーや善意によって成り立っていると感じています」と、自身の考えを語ってくれました。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)