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みそ汁をグツグツ沸騰させるのはNG? 「栄養がなくなる」は誤解 実は失われるものとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

みそ汁作り(写真はイメージ)【写真:写真AC】
みそ汁作り(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 和食の定番のひとつ、みそ汁。作るときに「沸騰させてはいけない」といわれることがありますが、なぜでしょうか。栄養が損なわれることがあるのか気になるところです。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

みその風味豊かな香り成分が熱に弱い

 みそは、蒸した大豆に麹と塩を加えて発酵・熟成させた、伝統的な発酵調味料です。古代中国から日本に伝わりましたが、それがいつ頃なのか定かではありません。平安時代には贅沢品として、食べ物につけたり、舐めたりして、そのまま食べていたと伝えられています。

 みそ汁が登場したのは、鎌倉時代。「一汁一菜」という、武士の食事の基本が確立されたといわれています。現代でも、みそ汁は和食に欠かせない存在です。

 古くから親しまれてきたみそ汁ですが、おいしく仕上げるには、みそを入れたあとの加熱にポイントがあります。「みそを入れたら沸騰させてはいけない」といわれるのは、みその香り、風味が失われてしまうためです。

 みその香り成分は、沸騰させると揮発してしまいます。そのため、煮立たせることで豊かな香りが失われ、みそ本来の風味を感じにくくなるのです。

沸騰ですべての栄養がなくなるわけではない

 沸騰させたからといって、みそ汁の栄養がなくなることはありません。みそには、原料の大豆に由来する良質なたんぱく質をはじめ、脂質、食物繊維、カリウムやカルシウムなどのミネラル、ビタミンB群などの栄養素が含まれていますが、そのすべてが沸騰によって失われるわけではないのです。

「栄養がなくなる」といわれるのは、加熱によって影響を受けるものがあるからと考えられます。

 みそは発酵の過程で、乳酸菌や酵母などの微生物が働いて作られますが、これらは熱に弱いのが特徴です。一般的に、乳酸菌は50度を超えると徐々に死滅するといわれています。酵母も熱に弱いため、火を通すことで生きた状態では摂取しにくくなります。

 ただし、乳酸菌や酵母が死滅したからといって、まったく効果がなくなるわけではありません。加熱などで死滅しても、腸内環境を整える働きがあることがわかっています。

おいしいみそ汁は「煮えばな」がポイント

 みそ汁を作る際、根菜類などの硬い具材は、だしと一緒に入れてしっかりと火を通しましょう。このときは、沸騰させてかまいません。

 葉菜類やワカメなど、火が通りやすいものは沸騰してから入れます。みそを入れる段階になったら、いったん火を止めて、みそを溶かします。

 みそを溶かしたら再び火にかけ、沸騰する直前で火を止めます。鍋の表面が揺れ始める「煮えばな」が、みそ汁の香りも味わいも楽しめるタイミングといわれています。出来立てをいただくのがおすすめです。

 気温が下がってきて、温かい食べ物が恋しい季節。古くから伝わる日本の伝統食の豊かな風味を味わいましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾