「お願いだから、絶対に離さないでね」。しゅんとした気持ちを体現する小さい両目、沈む思いを表すように垂れた耳など、全身で飼い主さんに不安と恐怖を訴える秋田犬の写真が、ツイッター上で話題になっています。投稿から1週間足らずで36万件もの“いいね”を集めた写真について、飼い主さんに話を聞きました。

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「注射は嫌…」　不安そうな姿がいぬ好きの心を鷲掴み！

　遠い目をした「しおん」くんが飼い主さんにしがみついたのは、2度目の予防接種で動物病院を訪れた日のこと。「もう帰ろ？　一緒に帰ろ？　って顔でずっとこちらを見てました」と、必死の形相を見せたしおんくんを思い出し、飼い主さんは苦笑いします。

　病院に向かう道中、のちの運命を知らないしおんくんは上機嫌。信号待ちで隣に停車している車のドライバーさんに「お出かけなの！」と会釈をして見せるなど、ウキウキした様子でした。

　こうして順調に動物病院へ到着。しおんくんは飼い主さんに抱きかかえられて車を降りると、1度目の接種を思い出したのか「ここ、知ってる!!」と緊張状態に。待合室に入ると、ハアハアと口呼吸を始め、体を固くしました。

　診察室では先生にシッポを振って挨拶できましたが、注射前後はひたすらビクビク。待合室にいた約1時間は「離さないで！」と懇願していたそうで、あまりの“不安顔”に他の飼い主さんからも笑われてしまったといいます。

　飼い主さんがこの時の様子をツイッターに投稿すると、「怖かったんだねぇ」「ちょっと痛いけど、これで元気にお外で遊べるよ」と同情の声が多く寄せられました。

　予防接種で愛犬が見せるイヤイヤ行動は成長過程によくあるエピソードですが、人間の子どもも幼少期にはさまざまな予防接種を経験します。リプライ（返信）欄には、「娘が小さい頃、やっぱり予防接種でこんな顔してたなぁ」という思い出もちらほら。

　また、私たち人間も新型コロナワクチンの接種を控えている昨今、「私もワクチン接種もうすぐです。気持ち分かるわ」と、しおんくんの不安に自らの気持ちを重ねる人もいました。

　病院から帰宅したしおんくんは、元気いっぱいに部屋の中を走り回っていたとのこと。飼い主さんは「病院は嫌なところ」という記憶が少しでも薄れたらいいなと、しおんくんが好きないぬ用のおやつとアイスをプレゼント。お昼寝の後は抱っこをしてお散歩に行き、頑張ったしおんくんをねぎらったそうです。

　スペイン語で「癒やし」の意味を持つ、「クラシオン」をヒントに命名されたしおんくん。普段はおっとりした甘えん坊ですが、しっかり意思表示ができる賢い子です。「注射怖い」という意思表示が、たくさんの人をその名の通り癒やしてくれました。

　
取材協力：秋田犬　しおん（@VytOONzRvz3KF59）さん

（Hint-Pot編集部）