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高級キャビアも無料で食べられる! 売らない“試食専門店”が成り立つ仕組みとは
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消費者なら一度は考える「購入する前に味を知りたい!」という思い。それを叶えてくれる試食専門店「メグダイ 代官山」(東京都渋谷区)が12月1日に誕生しました。店舗には商品化されたばかりのスイーツや老舗肉屋が手がけたスパイスなど、常時30品目が並んでいます。何と高級食材のキャビアも無料で試食可能。世の中にまだ知られていないおいしいものを探してみませんか。
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常時30品の新商品を設置 未知の味を知って
店内に所狭しと並べられているのは、メグダイ(東京都大田区)の経営者である関川惠大さんのお眼鏡に適った逸品ばかり。専門商社「エストリア」(東京都中央区)がキャンプなどのアウトドアで楽しんでほしいと開発したキャビア「STURGEON MOON CAMP」や、食肉の卸・小売業を営む「肉のコバヤシ」(大阪府吹田市)が創業149年の経験を費やした「肉専用のスパイス」など常時30品目が集められています。
「8割が知らない至極の品を世の中に届けたい」と話す関川さん。商品の横に置かれている「試食カード」を店舗奥の「試食台」にいるスタッフに見せれば、回数の制限なく誰でも無料で試食することが可能です。11月に行ったプレオープンには、約1か月の間に300人が来店したといいます。
商品の一部は店舗に在庫を用意。生ものなど在庫がない品はメグダイの公式サイトなどを通じて通信販売されています。
関川さんは「試食をした方の6割が商品を購入してくれました。実際に食べて納得していただいているのでリピーターになってもらえる率も高い」と手応えを感じています。また「実際に食べた人は悪い感想を書くことが少ない」というリサーチ結果から、SNSの活用も視野に。商品名にハッシュタグを付け、味の感想を投稿した人には10%オフのクーポンを発行する予定です。
生産者に改善点などをフィードバック より良い開発につなげて
とはいえ「なぜ無料で試食できるの?」「後から料金を請求されるのでは?」と不安が残りますよね。
運営の仕組みは、個人事業主・農家・企業らから出展料として、月に3万3000円から8万8000円までの3段階で利用料を徴収。売り上げは100%事業者にバックするというもの。そのため、通りに面したビルの1階にある店舗入口には「購入してもらうことを目的としておりません!」と記した看板が設置されています。
関川さんは「試食を通じて自社の味や名前を知ってもらうことができる。新しい広告手段の場として広まれば」と期待しているそうです。
店舗では試食を提供するだけではなく、使い方や味の魅力、製品ができた背景を丁寧に説明。試食をした人から集めた情報は、生産者に定期的にフィードバックします。
消費者と生産者をつなぐことで、生産者側は消費者目線の問題点や、商品の改善点に気付くことが可能に。「将来の商品開発に生かしてほしい」と思いを込めています。
プレオープン時には、奈良県で栄養士をしている女性が2000個近くの試作の上たどり着いた「大人のガトーショコラ」が大人気に。関川さんは「代官山で試食をする前は売り上げに苦戦していたと聞きました。でも『塩を付けて食べる』ことを提案したところ、『口どけがたまらない!』『おいしい』と評判になりました」と反応を喜んでいます。
他にも、不登校の教え子が「社会とつながる場になれば」と、高校教師を辞めて起業した男性がオーガニック食材にこだわって作り上げた「チーズケーキ」も「自信を持ってPRできる」とのこと。
営業は午前11時から午後7時。詳細は店舗(03-6416-1139)に確認を。
(Hint-Pot編集部・西村 綾乃)