インタビュー

連日売り切れのおはぎ専門店 元デザイナーが1年以上も試行錯誤したあんこ作りとは

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

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大阪・豊中の商店街にある「森のおはぎ」で店頭に立つ森百合子さん【写真:Ryousuke Yano】
大阪・豊中の商店街にある「森のおはぎ」で店頭に立つ森百合子さん【写真:Ryousuke Yano】

 さまざまな分野で活躍する女性たち……と聞くと、「異なる世界で生きている人」「特別な人」と、自分には関係のない話だと感じてしまう方が多いかもしれません。とはいえ、「生きる」中で感じることや苦悩は、どのような立場になっても存在しています。そんな人物にスポットライトを当て、それぞれの人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。第6回(前編)は、独学でオープンさせたおはぎ専門店「森のおはぎ」が連日売り切れの大人気を呼んでいる森百合子さんです。

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1年以上にも及ぶ試行錯誤の末に完成した納得のおはぎ

「お客さんに『人気のお店ですよね?』と言われることがあるのですが、本当に人気店って言っていいんでしょうかと思っているくらいなんです。だから『それ、本当にうちのことですか?』と聞き返すほど、未だに自覚がありません(笑)。でも、お土産などで持っていくと喜ばれると聞くのでうれしいですね」

 味にも値段にも厳しい目を持つ大阪で、連日売り切れになるおはぎ専門店があります。店主・森さんが作る「森のおはぎ」です。特徴は小ぶりなサイズと雑穀を使っていること。全種類を制覇したい、少しでも罪悪感をなくしたいという女性たちの夢を叶えてくれる、見た目もかわいいおはぎです。

 おはぎを作り続ける森さんの前職はテキスタイルデザイナー。寝具などの生地に柄を描いてデザインする仕事で、「立体的なものを生み出す方が好きだった」そうです。その後、染色工場で柄に色を指定する仕事に就いていた時、時間に余裕ができたことで「何もしないのも何かもったいないな」「このままだと怠けてダメになっていきそうだな」「何かせなあかんな」と感じることが。そこで始めたのが、おはぎ作りでした。

「おはぎが大好きだし、おはぎ屋さんをやろうってなりました。けど、おはぎを作ったこともなければ、あんこを炊いたこともなかったので、まずはあんこを炊かなきゃいけないと考えて。本屋さんで手に入るあらゆる本、それこそ本格的な専門書からレシピ本まで買ってきて、あんこのレシピを集めました。そして、いろいろなパターンであんこを炊いていくと、その中で学ぶことがすごく多かったんです」

 一般的に市販されているあんこには、日持ちをよくするために砂糖が多く使われています。森さんは実際にレシピ通りに作ってみると「ちょっと甘すぎるな」と感じ、砂糖を少し抑えて炊きました。すると、小豆の香りがしっかりする発見もあったそうです。

 そこからはまさに試行錯誤の連続。砂糖を足したり引いたりしながら、とにかくあんこのおはぎ、きなこのおはぎを作り続けて、周りの人に食べてもらう。納得がいくまで1年以上これを繰り返しました。