動物・レジャー

世界900か所以上に拠点 登録者急増の旅のサブスク 利用者に魅力を聞く

著者:Hint-Pot編集部・西村 綾乃

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「偶然の出会いが心の栄養になる」と語る岡部さん【写真:Hint-Pot編集部】
「偶然の出会いが心の栄養になる」と語る岡部さん【写真:Hint-Pot編集部】

 コロナ禍で遠方への往来が難しい今、身近な場所で気分転換する人が増えています。暮らしている場所を“旅先”に――。そんな思いを叶えてくれるのが、世界中にあるホテルや旅館などとの提携で提供されている定額制宿泊サービス「HafH(ハフ)」です。東京都内で暮らしている30代の女性は3年前の立ち上げ当初からサービスを利用し、現在は毎週末都内にある拠点をめぐっています。「株式会社KabuK Style」(本社:長崎県長崎市)が展開するこのサービスについて、その魅力を伺いました。

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偶然の出会いが原動力 予想もしていなかった未来に

 東京都内にある金融機関に勤めている岡部百合子さんの旅は、毎週金曜日の夜に始まります。化粧品など身の回りのものをまとめたリュックサックを手に向かうのは、都内に約60か所点在する宿泊施設です。

 銀座などの中心部の他、下町やランドマークがない場所などさまざまな場所で過ごす“目的を持たない旅”は、「どこに一歩を向けるか、誰と出会うかで予想もしなかった一日になる。会社勤めをしているだけでは、得られない満足感があります」と語ります。

 以前はまとまった休みが取れると航空券とホテルだけ予約し、海外をめぐっていた岡部さん。“決めない旅”に魅了されたのは、単身で訪れたハワイでの出来事がきっかけでした。Wi-Fiの使い方が分からず困っていた70代の日本人女性を助けた際、お礼にと自宅で開かれたパーティーに招かれたそう。

「2人のうちの1人が現地で暮らしていて、『そばパーティーをするから』と誘ってくれたんです。偶然の出会いが、予想もしていなかった未来を見せてくれました。視野がぐっと広がりました」と振り返ります。

シェアハウス暮らしを経て「地元を外から見たい」と東京へ

「いろいろな人と出会いたい」と思っていた30代前半の頃、実家がある長崎県長崎市内にシェアハウスができました。「女性限定で民泊も募集していて、『ここなら自分が旅をしなくても旅人に会える』と家族に内緒で契約しました」。一人暮らしに難色を示していた両親も、「シェアハウスと実家と交互に戻ってきてくれるなら」と渋々許してくれたといいます。

長崎市内にあるHafHの直営施設。コロナ禍以前には、ドイツや中国から来た旅行者と餃子パーティーをするなどして交流した【写真提供:岡部百合子】
長崎市内にあるHafHの直営施設。コロナ禍以前には、ドイツや中国から来た旅行者と餃子パーティーをするなどして交流した【写真提供:岡部百合子】

 シェアハウスに帰ると、中国人のファミリーがいたりフランス人のカップルが過ごしていたり、日々違う様子に刺激を受けたそう。2拠点暮らしを1年ほど続けていた2018年、長崎を軸に展開しているHafHのサービスを知り、利用するようになりました。

「今は週末に利用していますが、当時は『明日はHafHに行こう』と思い立った時に予約をして平日にも利用していました。そこで出会ったHafHの利用者から『長崎は良いところ』と褒めてもらうことが多くなって。地元を外から見てみたいと思うようになったんです」

 思い立ったら行かずにいられないのが信条。勤めていた金融機関の本店が東京にあったことから募集のあった本社勤務を志望し、2019年の秋に上京しました。興味が赴くままに。岡部さんが登録からこれまで利用した宿泊回数は150回を超えています。

「できた仲間に『次は仙台に行くよ』と聞いて、『私も行こうかな』と出向いたり。北海道から沖縄まで、全国を旅しました。HafHで出会った人から受ける刺激が、自分を動かす力になっています」

 月曜日から金曜日まではテレワークを挟みながら会社勤めの日々ですが、金曜日と土曜日の夜は都内の拠点を渡り歩いているそう。「誰もいない銀座大通りを歩いたり、宿泊したからこそ見えた日中とは違う様子の街を散歩するのが楽しい」と新しい楽しみを見つけたようです。

「最近は『集中して仕事をこなすため』や、『外出自粛の息抜き』に“プチ家出”として利用する人も増えているようです。在宅勤務でこもりがちな今、『誰かと話したい』と拠点に来る人も増えています。近場で気分転換をし、心を充電して」と呼びかけています。

 長崎で生まれたHafH。誕生の地は利用者にとって“聖地”のように大事にされているそう。「地元を離れたことで生まれた長崎の街に流れる時間や、人が穏やかであることに気付くことができました。長崎に戻るまで、第二のふるさとを探す気持ちで街を訪れたい」と思いを込めています。