食
甘いブリオッシュ生地が特徴 クリスマスのネクストブレイク菓子「パネットーネ」とは
公開日: / 更新日:
この時期にベーカリーショップや洋菓子店でよく見かけるお菓子「シュトレン」。すっかり市民権を得たシュトレンに続けと勢いを増しているのは、ベーカリーショップや輸入食品店などで目にする「パネットーネ」です。シュトレンがドイツ発祥なら、こちらはイタリア発祥。食べるスタイルはシュトレンと同じく、イエス・キリストの降誕にあたる12月25日を待ちわびる「待降節」の約4週間にわたって少しずつ食べるそうです。そんなイタリアの伝統菓子をご紹介します。
◇ ◇ ◇
大きなドーム型のパネットーネは存在感抜群
イタリアのミラノが発祥の地とされるパネットーネ。同国北部で数百年にわたって受け継がれてきた自然発酵種「パネットーネ種」を使ったドーム型の大きな焼菓子です。
その由来には諸説ありますが、15世紀頃にミラノを治めていたルドヴィコ・イルモーロ宮廷での出来事が最も有名な説です。それは、宮廷シェフのアシスタントだったトニがクリスマスディナーのデザートを焦がしてしまったことから始まります。
トニはそこで機転を利かせ、残り物の生地とバター、卵、ドライフルーツで即興焼き菓子を作りました。すると、イルモーロ公ことミラノ公のルドヴィーコ・スフォルツァに大好評。「これは何というデザートなのか」との質問にシェフが「トニのパン(pan de Toni)」と答えたことから、その名で受け継がれているそうです。
ドライフルーツとブリオッシュ生地がマッチ
パネットーネの特徴は、ふんだんに混ぜ込まれたレーズンやオレンジピールなどのドライフルーツと、卵たっぷりの甘いブリオッシュ生地。大きく膨らませるために、強い酵母のパネットーネ種によって発酵させては生地を休ませるという工程を繰り返すため、完成までに日数や手間もかかります。
国内外2000軒以上のパン屋を訪れたパンディレクターの大谷りえ子さんによると、パネットーネ作りにはやはり腕が必要なようです。
「『初めて挑戦してから3度目の今年、やっと良い出来上がり』とシェフが言っていたほど、温度や湿度などの環境、そしてシェフの腕によって出来上がりが左右されるものなんです」
パネットーネと似ているものに「パンドーロ」があります。ドライフルーツが使われず、プレーン生地であるのが大きな違いです。
イタリアでパネットーネを食べる時期は、イエス・キリストの降誕にあたる12月25日を控える「待降節」の約4週間。少しずつ食べるのが慣習だそうです。食べやすい大きさにカットしたものに、生クリームやザバイオーネクリーム(マルサラ酒を混ぜたクリーム)などを塗ることもあるそう。
サイズが大きいため「一気には食べられない!」という人も多いでしょう。保存の方法は、断面をラップしてから保存袋などに入れ、空気を抜いてから冷蔵庫ではなく常温で。ふんわりとなめらかにほどける食感は、やみつきになってしまうかもしれませんね。
(Hint-Pot編集部)