どうぶつ
国内初の繁殖に成功したスナネコの母 高貴な姿が話題に 4姉妹の現在は?
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「希少動物たちの命をつなぐ」ことを責務としている「那須どうぶつ王国」(栃木県那須町)では近年、レッサーパンダ、マヌルネコ、スナネコなどの希少種が誕生しています。クラウドファンディングなども積極的に行う同園では、多くの人に動物の保全・保護に関心を持ってもらおうと飼育や園内の様子を公式ツイッターアカウント(@nakprstaff)に投稿。中でも2020年に国内の動物園(日本動物園水族館協会加盟園)で初めて繁殖に成功したスナネコが人気です。2.7万件以上の“いいね”を集めた投稿について、同園の担当者に話を伺いました。
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国内で初めてのスナネコ繁殖に成功
ゴールドの瞳が目を引くスナネコのメス。アラビア語で「美しい」という意味を持つ「ジャミール」と名付けられ親しまれています。
同園では日本固有の野生ネコ「ツシマヤマネコ」の保護に力を入れようと、まずは同じ小型のネコ科動物の飼育経験を積むことを計画。2019年10月にジャミールと、オスの「シャリフ」(アラビア語で「気高い」を意味)を受け入れ飼育をスタートしました。
飼育員さんたちの願いが通じ、ジャミールは2020年4月27日の早朝に3頭を出産。しかし先に産まれたオスとメスは死産でした。
「初めての出産に戸惑うジャミールは何もできず、大きい声で巣箱の近くをうろつきながら『ワンワン』鳴いていました。もう息をしていない2頭、そして次に生まれたメス(のちの「アミーラ」)を見て動揺していました。飼育員たちはギリギリまでジャミールがどうするのか待っていましたが、最後に産まれた3頭目の命を守ろうと人工哺育にすることに。手のひらに乗せたアミーラは衰弱し低体温症を起こし危険な状態でした」
国内の動物園では人工哺育の飼育例がなく、情報を集めることは難しかったそう。これまで経験したネコ科のマヌルネコなどで得たノウハウを生かし、手探りで取り組みを始めたといいます。野生でも子どものうちは死亡率が高いため、1時間おきに様子を確認。スタッフが排泄を手伝うなどして命をつなぎました。
飼育員のサポートもあり元気に成長した赤ちゃんは、公募によりアラビア語で「お姫様」の意味を持つ「アミーラ」と命名されました。昨年6月から一般公開もされています。