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カルチャー

アナとエルサも教えてくれる!? 名作映画3本で学ぶ世界のクリスマス事情

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

英ロンドンのデパート「セルフリッジズ」のクリスマスディスプレイ(2012年)【写真:Getty Images】
英ロンドンのデパート「セルフリッジズ」のクリスマスディスプレイ(2012年)【写真:Getty Images】

 クリスマスが近づき、街中ではイルミネーションが美しく輝いています。日本流のクリスマスも、今や文化の一つになったといえるでしょう。一方で“本場”の様子も気になるところ。そこで活用したいのが、世界のクリスマス映画です。各国のムードがギュッと凝縮された作品を通じて、クリスマス気分をもっと盛り上げてみましょう。映画ジャーナリストの関口裕子さんが、名作3本の背後にある各国クリスマス事情をお届けします。

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米国の定番クリスマス映画に見る名物イベント

「米国ではクリスマスになると必ず観る映画がある」と聞き、うらやましく思ったことがあります。一つの映画が世代を超えた共通言語になるなんて最高だと。異なる時代に生まれたことで物語に対する価値観やとらえ方が変わることもあるでしょう。そんな思いを話し合う機会が持てるなら、それこそ最高のクリスマスの過ごし方なのではないでしょうか?

 今回ご紹介するのは、そんな題材になり得るクリスマス映画3本。地域性がかなり厳密に描かれているので、鑑賞する機会があったらぜひ注目してみてください。クリスマス気分を盛り上げる役目もバッチリですよ。

【米国・ニューヨーク『三十四丁目の奇跡』(1947)】

ジョージ・シートン監督作品『三十四丁目の奇跡』【写真:Getty Images】
ジョージ・シートン監督作品『三十四丁目の奇跡』【写真:Getty Images】

「クリスマスといったらこれ!」な定番映画の一つ『三十四丁目の奇跡』。1959年と1973年にはテレビ映画、1994年にはリチャード・アッテンボロー監督によるリメイク版も製作されましたが、ジョージ・シートン監督の1947年版をおすすめします。

 サンタクロースを信じない娘スーザン(ナタリー・ウッド)と現実主義の母ドリス(モーリン・オハラ)が、サンタの別名クリス・クリングル(エドマンド・グウェン)を名乗る謎の老人と出会い、クリスマスの奇跡と人の温かさを信じるようになるストーリーです。

 シングルマザーのドリスが働くのはニューヨークに実在するデパート「メイシーズ」。人事部に所属するドリスは、「メイシーズ・サンクスギビング・デイ・パレード」に参加予定だったサンタクロース役の代役を探しており、変装なしでサンタ役ができるクリス・クリングルと出会います。

2007年11月に開催された「メイシーズ・サンクスギビング・デイ・パレード」【写真:Getty Images】
2007年11月に開催された「メイシーズ・サンクスギビング・デイ・パレード」【写真:Getty Images】

 パレードは実際に1924年から行われており、名前の通りクリスマスではなく11月下旬の感謝祭に合わせたものです。34丁目のメイシーズ前から出発し、最盛期には沿道に100万人以上の観客を集めました。第二次世界大戦の影響で1942年から44年までは中止されましたが、45年に再開。1947年版の『三十四丁目の奇跡』に登場するのは46年に行われたパレードで、この映画により全国的な知名度を獲得したそうです。今では当時のパレードを知る重要な記録にもなっています。

 もう一つ、メイシーズのクリスマス名物といえば「サンタランド」。メイシーズ8階の特設会場に白人、黒人、スペイン語を話せるサンタが座っており、訪れた子どもたちは膝の上に座って欲しいプレゼントを告げるスペースが設けられています。保護者は子どもの本当に欲しいものを知ることができ、子どもはサンタに会えたことで大喜び。デパートは階下でさっそく商品をご購入いただけると、三方よしな企画というわけです。

「サンタランド」2010年の様子【写真:Getty Images】
「サンタランド」2010年の様子【写真:Getty Images】

 本来はサンタのお膝に座ってお願いを聞いてもらいますが、昨年は新型コロナウイルスの影響でネット上でのバーチャル「サンタランド」のみ。でも今年はバーチャルに加え、ソーシャルディスタンスを保ってリアルでも開催されています。

 小さい子どもにとっては大興奮なサンタとの出会いですが、10代に入ると徐々に気恥ずかしさが芽生えてくるもの。サンタランドの全貌を知らずに並んでしまった大学生の知人は、かなり照れくさい状態でサンタと会話することになった体験を教えてくれました。