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米ロサンゼルスから見つめた2021年 在住の“醸せ師”が新たな常識や出会いから得た気付きとは

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

さらに身近になったオンラインと新たな方向に広がった出会い

数か月前から始まった発酵コミュニティとウェブサイト【写真:小田島勢子】
数か月前から始まった発酵コミュニティとウェブサイト【写真:小田島勢子】

 変化といえば、学校や仕事でもオンラインがさらに身近になったこともあり、これまでにはなかった出会いも多くありました。

 私自身、コロナ禍までの7年間は発酵食のワークショップを主に対面で開催していました。しかし、パンデミックで厳しい規制がかかる中、参加者からオンライン開催の希望をいただき、初めてZoomでワークショップを行うことに。「緊張で何をしたか覚えていない日」を今でもしっかり覚えています(笑)。

 私にとってオンラインクラスの開催は「挑戦」でもありました。元々パソコンや携帯電話の操作がとても苦手な上に、味や香りを伝えられない画面上の発酵のクラスを参加者全員がきちんと理解できるのか不安が大きかったからです。

 ただ始めていくうちに、これまでに出会った仲間はもちろん、オンラインだからこそ実現できた大切な出会いもありました。これまでのように気軽に会うことができない状況になったことで、新たな方向に出会いの輪が広がり、世界中で暮らす同じような思いを持った人たちとつながることができるようになったのです。

「信じる」ことがテーマの一年 「継続」の重要性も実感

日々の暮らしの中で自分の選ぶ素材を信じる【写真:小田島勢子】
日々の暮らしの中で自分の選ぶ素材を信じる【写真:小田島勢子】

 最後に今年一年を漢字1字でも振り返ってみたいと思います。私自身の今年を漢字で表すと「信」です。身を守るために一番大切だと感じる自己免疫力(自分の内側)や、情報があふれる中でも経験や目の前で起きていることから導き出した答えを信じること。加えて、それぞれの価値観や生活環境で生きる人たちとの関わり合いの中で、共感やそれぞれの思い、信頼関係を大切にする。「信じる」ことがテーマの一年でした。

 また、この歳になり「継続」の重要性も実感しています。いくつになってもどんな状況になっても、自分の心躍るものや情熱を持てるものを大切にして続け、伝え合うこと。そうすることで、新たに生まれてくるものがある。この学びは子どもたちにも重要だと感じる点が多くあり、今や我が家の家訓になりつつあります。

 人からどう見えるかではなく、自分がどう感じるか。人と関わり合う暮らしの中で、比較や人からどう思われるかを考えないのはとても難しいことです。ですが、来年は今年よりもまた少し、自分のあり方と生き方を大切にして「信」を深めていきたいと思います。

 最後に今年も一年間、エッセイに目を通してくださった方々や、この地球でともに暮らす世界中の皆様に感謝の気持ちを贈ります。心からありがとう。

(小田島 勢子)

小田島 勢子(おだしま・せいこ)

ナチュラリスト。結婚を機に2004年に南カリフォルニア州へ移住し、3人の女の子を米国で出産。ロサンゼルスの片田舎でバックヤードに鶏たちと豚のスイ、犬のトウフとともに自然に囲まれた生活を送る。母になったことをきっかけに食や環境の大切さを改めて感じ、できることからコツコツと、手作り調味料や発酵食品、スーパーフードやリビングフードを取り入れた食生活をメインに、食べるものは「できるだけ子どもと一緒に作る」「残さない」がモットー。2015年に「RUSTIC」を設立。日本で取得した調理師の知識や経験を生かして食のアドバイザー、ライフスタイルのコーディネーターとして活動。日米プロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザー、みそ、お酢、漬け物など発酵食品作りの講師、創作料理のケータリングなど幅広い分野で活躍。
https://rusticfarmla.com/