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ミカンは1日何個までOK? 白い筋を食べるメリットや「風邪知らず」といわれる理由
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教えてくれた人:和漢 歩実
白い筋も食べた方がいい? ミカンの栄養素
ミカンを食べると「風邪知らず」と言われるほど、果肉と果皮のいずれもが人々の健やかな暮らしを支えてきました。
栄養価としては、免疫力を高めることが期待されるビタミンCがよく知られています。しかし、カロテンを多く含むことにも注目を。カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を強くしてウイルスの侵入を防ぐ効果が期待できます。
オレンジ色の成分であるクリプトキサンチンもビタミンAに変換されます。こちらは近年、発がん抑制や老化防止、生活習慣病発生のリスクを低下させる可能性について研究が行われているそうです。さらに、酸味であるクエン酸には疲労回復の効果があると言われています。
白い筋や袋の薄皮に含まれるヘスペリジンはポリフェノールの一種で、血流促進や毛細血管を強化して血流改善に役立つ成分として知られています。また、食物繊維も豊富なため、整腸や血糖値の上昇が気になる人にはおすすめです。栄養面から考えると、白い筋や袋も食べた方が良いでしょう。白い筋が苦手な人は、ヘタ側からミカンをむくと取れやすくなります。
ミカンの外皮を乾燥させたものは「陳皮(ちんぴ)」と言われ、漢方薬や薬膳でも使われてきました。気の流れを良くして消化吸収を助け、咳や痰などを抑制する効果が期待されています。日本では七味唐辛子の「一味」としておなじみです。
食べすぎると手が黄色くなる? 1日の目安は
とはいえ、ミカンの食べすぎはNG。手のひらや足の裏が黄色くなったりする「柑皮症」を発症することがあるからです。ミカンに含まれているカロテンやクリプトキサンチンの過剰摂取がその原因とされています。
「日本食品標準成分表2020年版」(八訂)によると、廃棄率を加味し、温州ミカン(じょうのう、普通)1個の可食部を80グラムとすると、エネルギーは約40キロカロリー。厚生労働省の「健康日本21」では、1日200グラムの果物を食べることを目標としています。ミカンは1日2個(80キロカロリー)程度を目安にすると良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾