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梨の種類には「赤」と「青」がある シャリシャリ食感の“正体”は意外な栄養素
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教えてくれた人:和漢 歩実
品種によって長い期間にわたり楽しめる日本の梨。主に「幸水」から始まり最盛期は8~10月頃ですが、11月には巨大梨で知られる「愛宕梨」も出回ります。シャリシャリとした歯触りとみずみずしい果汁がおいしいですよね。梨についての豆知識を、栄養士の和漢歩実さんに聞きました。
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日本では古くより食べられていた? 梨の名の由来とは
遺跡から種子が発見されるなど、梨は弥生時代にはすでに食べられていたようです。「日本書紀」には栽培に関する記述もあります。私たちが食べている甘味が強く果肉のやわらかい現在の梨は、明治以降に発見されたり品種改良されたりしたものなので、古代の味とは少し違うかもしれません。しかしながら、梨は日本人に常食されてきた果物の一つです。
「梨」の語源は諸説あります。果肉が白いことから「なかしろ(中白)」と言い、略して「ナシ」になったとする説。梨は風があると実らないことから「風なし」から「ナシ」と呼ぶようになった説。果実の中心に酸味があることから「なかす(中酸)」が訛って「ナシ」になった説などです。また「ナシ」という発音が「無い実」を連想させるとし、縁起を担いで「有りの実」と呼ぶ人もいたそうです。
梨の種類には「赤」と「青」がある
今や多様な品種がある梨は、収穫時期が微妙に異なり絶えず次々と出荷されていくことから「梨リレー」とも言われます。主な品種では「幸水→豊水→あきづき→新高」……などの順番です。産地によって楽しめると同時に、秋の移り変わりを品種によって感じられるところが良いですね。
また日本の梨は、大きく分けて「赤梨」と「青梨」に分けられます。
○赤梨
赤梨とは、皮の色がやや赤みがかった褐色のものです。酸味を抑えて甘味が強く、やわらかい果肉が特徴で、「幸水」や「豊水」などが赤梨です。
○青梨
一方、青梨とは、皮の色が黄緑色っぽいもの。「二十世紀」や「八雲」、「菊水」などをいいます。酸味が強めで甘酸っぱい味が特徴です。
腸内環境が気になる人にうれしい梨の栄養素
独特のシャリシャリとした食感は、食物繊維のリグニンという成分が蓄積したもの。石細胞と呼ばれ、便秘が気になる人におすすめです。加えて腸内環境を整えるソルビトールという糖の一種も含まれているのが特徴。ソルビトールはキシリトールと同様に虫歯になりにくい成分としても知られています。
さらに、利尿作用や疲労回復で注目されるアミノ酸の一種のアスパラギン酸、塩分を体外へ排出するカリウムも含まれています。日本の梨は約88%が水分(ちなみにリンゴは約84.1%、ブドウは約83.5%)。100グラムあたりのエネルギー量は38キロカロリーと低めです。
また薬膳では、梨は肺を潤して熱を下げ、口の渇きやのどの痛みを和らげる食材として古くから注目されてきました。
梨を選ぶ時は3つをチェック 「ブツブツ」も目安に
おいしい梨のチェックポイント
- 軸太めでしっかりとしている
- 形ハリがあって幅広のもの
- 皮傷がないもの
一般的に、赤梨は全体的に色付いたもの、青梨は黄色地にほんのり緑色が残るものがおいしいです。また表面を見るとブツブツとした点の模様があるのですが、この点々は水分を保つ役割をする果点コルクと呼ばれています。点々がびっしりあるものより、適度に薄くなっている方が完熟しているとも言われます。ずっしりと重みがあるものが良いでしょう。
最も甘い部分は、皮の近くで下のおしり側(軸でない方)と言われています。くし形にカットした場合は甘味が低めの軸側の方から食べていくと最後までしっかりと甘味を楽しめます。
保存は梨の軸を下にして冷蔵庫へ カットして冷凍保存も
保存は冷蔵庫が適しています。キッチンペーパーで丸ごと包みラップをしたらポリ袋に入れます。この時、梨の軸側を下に、おしり側を上にして保存しましょう。軸を下にすることで梨の呼吸が抑えられて劣化のスピードがゆるやかになると言われています。
冷凍保存も可能です。一切れずつカットしてラップに包み冷凍用保存袋に入れて保存します。シャーベットとしてそのまま食べてもおいしいのですが、タンパク質が豊富な豆乳と一緒にスムージーにするのもおすすめです。
少しだけ余ってしまった梨をすりおろし、焼き肉のタレなどの調味料に加えて肉を漬けて焼くと、お肉がやわらかくジューシーになります。これは梨に含まれるプロテアーゼというタンパク質を分解する消化酵素の働きによるものです。お肉をたくさん食べすぎた! という時に食後のデザートとして梨を食べるのも良いですよ。
梨のさまざまな種類を知って旬の味覚を堪能
梨の選び方から栄養素、保存方法についてご紹介してきました。梨にはたくさんの種類があり、産地によって味や食感の違いを楽しめるのも良いですね。秋の果物ですが、収穫時期が微妙に異なり、次々にさまざまな種類が出回ります。秋の移り変わりを品種によって感じられるのがうれしいですね。また、梨に含まれる栄養素は腸内環境を整えてくれるので、ぜひ生活の中にも取り入れてみてください。おいしい梨の選び方や保存のコツを知って、秋の味覚を楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾