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リンゴが「1日1個で医者いらず」と言われる理由とは 驚きの栄養価と保存のコツ
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教えてくれた人:和漢 歩実
古くから食されてきたリンゴ。英国のウェールズに由来する「1日1個のリンゴは医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away)」といった言葉もあるように、その栄養価も長く注目されてきました。また、ウサギなどの飾り切りにしてもかわいらしく華やかになる食材として人気です。今がおいしいリンゴについて、栄養価や保存のコツを栄養士の和漢歩実さんに聞きました。
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世界的にも歴史が古い果実
アダムとイブの神話に出てきたり、ニュートンの万有引力の法則にも登場したり。リンゴは約4000年前から栽培されていたと考えられているほど長い歴史を持っています。原産地は中央アジアと言われ、16~17世紀頃にはヨーロッパ各地に広まり、米国に伝わり品種改良が行われたようです。
日本には平安時代に中国から持ち込まれたとの説はありますが、本格的な栽培が始まったのは明治初期の頃。米国から苗木がもたらされ、国内で広く栽培されるようになりました。
近年は品種改良されたおいしいリンゴが多く栽培されています。種類がとても豊富で味や色、形などもさまざま。世界では約1万5000種、日本では青森県をはじめ約200種が栽培されているそうです。
「医者を遠ざける」栄養価 食物繊維とカリウムに注目
リンゴには食物繊維とカリウムが多く含まれています。食物繊維には整腸効果が、カリウムには体内の余分な塩分を排出する効果が期待できるため、便秘や高血圧といった生活習慣病の予防としても注目される果物です。また、強い抗酸化作用があるとされるリンゴポリフェノール(プロシアニジン)、疲労回復につながるリンゴ酸やクエン酸といった有機酸も含まれています。
日本食品成分表2020年版(八訂)によると、リンゴ(皮なし)100グラムあたりの炭水化物が15.5グラム(うち食物繊維1.4グラム)、カリウムが120ミリグラムです。エネルギー量は53キロカロリーです。リンゴ1個を300グラム(廃棄率15%)とすると、丸ごとすべて食べても135キロカロリーです。
とはいえ、炭水化物(糖質)は果糖が最も多く含まれています。ブドウ糖やショ糖を含むため、食べすぎには注意しましょう。一般的に、糖尿病の方は1日1/2個程度(約80キロカロリー)が適量とされています(詳細については医師の指示に従ってください)。
減量を考えている時は、バランスの良い食事を心がけつつ、食後のデザートやおやつとしてリンゴを食べるのが良いでしょう。または食事前にリンゴを適量食べると、食べすぎの予防につながります。