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旬の大根 おろしや漬け物に向いているのはどの部位? それぞれのおいしい調理法
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教えてくれた人:和漢 歩実
辛みの正体 部位ごとで違う?
大根の辛みは「イソチオシアネート」という成分によるものです。大根をすりおろしたり切ったりすることで、酵素と混じり合って生成されます。
辛みは部位ごとに異なり、一般的には次の3つに分けられます。食べ方や調理によって使い分けると良いでしょう。
○上部(葉のそば)
水分が多く、みずみずしい食感です。辛みよりも甘みが強い部位のため、生食がおいしいでしょう。サラダや野菜スティックなどに適しています。大根おろしに使うとマイルドな味わいになり、辛みが苦手な人にはおすすめです。
○真ん中
やわらかく、辛みと甘みのバランスが良い部位です。大根本来の味わいと食感を楽しめます。おでんや煮物、大根ステーキなどに適しており、きれいな丸形に仕上げるとさらに食欲をそそるでしょう。
○下部(先端)
水分が少なめのため辛みが強い部位です。辛い大根おろしを作りたい場合は、この部位を使うのが良いでしょう。調味料が浸透しやすいので、漬け物にも向きます。
大根おろしはおろす部位や繊維の向きでも異なる?
甘い大根おろしにしたいなら、前述の通り大根の上部を使いましょう。さらに、おろし金に当てる繊維の向きによっても辛みを抑えることができます。大根の繊維は上から下に通っていますので、縦に切った切断面をおろし金に当て、繊維に対して平行におろすことで辛み成分が生成されにくくなります。
辛み成分は揮発性なので、おろしてからしばらく時間をおいて空気に触れさせておくと、さらに辛みを抑えることができます。しかしその分、ビタミンCは損なわれます。
辛みの強い大根おろしにする場合は、下部を使いましょう。さらに、大根を横に切って切断面をおろし金に当て、繊維に対して垂直におろします。すりおろした直後が一番辛いので、食べる直前におろすと辛みがさらに引き立つでしょう。
イソチオシアネートは、肝臓の解毒作用を助けたり、がんの発生を抑えたりすることで注目されています。お好みの部位でおいしく取り入れたいですね。
【参考】
「オ-ルガイド食品成分表」(実教出版)
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾