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旬の新玉ネギ 通常の玉ネギと何が違う? 保存のコツやおいしい食べ方とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

春の味覚の一つ、新玉ネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
春の味覚の一つ、新玉ネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 店頭に新玉ネギが並んでいます。今の季節しか楽しめない野菜です。通年出回る普通の玉ネギと何が違うのでしょうか。幅広い年代層から人気の玉ネギ。今さら聞けない違いや、栄養面、保存のコツ、おいしい食べ方について、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。

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古くから栽培されていた玉ネギ 日本では明治以降に広まる

 古代エジプトで栽培されていたといわれる玉ネギ。当時は「魔除け」としても使用していたとみられています。また、玉ネギを指す英語「onion(オニオン)」はその語源に諸説ありますが、ラテン語で「真珠」を意味する「unio(ウニオー)」に関係していると考えられています。

 日本にはオランダ人が江戸時代の長崎に持ち込んだようですが、当時は定着せず。のちに米国から導入された品種が北海道で栽培に成功し、明治時代以降は広まるようになりました。

 現在の日本で栽培されている玉ネギは主に「黄玉ネギ」と呼ばれ、辛味があります。春に種まきをして秋に収穫するもの(北海道など)、秋に種まきをして春から初夏にかけて収穫するもの(佐賀、兵庫など)です。新玉ネギは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される玉ネギの総称です。

 この他、酸味や刺激臭が少なく、生食に適した赤(紫)玉ネギ、白玉ネギ、直径が4センチほどで煮込み料理に向く小玉ネギ(ペコロス)があります。葉玉ネギは、玉になる部分が膨らみ始めた直後に、葉が付いたまま収穫したものです。

新玉ネギと玉ネギは同じ? 栄養面に違いはある?

通常の玉ネギは表皮を乾かして出荷(写真はイメージ)【写真:写真AC】
通常の玉ネギは表皮を乾かして出荷(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 通年見かける皮が茶色の玉ネギと春に出回る新玉ネギは、どちらも品種に違いはありません。通常、玉ネギは収穫後に1か月ほど乾燥させ、表皮を乾かすことで保存性を高めてから出荷します。一方、春先に出回る新玉ネギは、収穫後すぐ出荷されたものです。

 両者の違いは、乾燥させたか否かにあります。新玉ネギは限られた時期にしか出回らないため、見かけたらぜひ購入して、旬を味わいたいですね。また、栄養成分に大きな違いはないとされていますが、新玉ネギは乾燥させていないため水分が多く、やわらかくて辛味も少ないことから、生食でもおいしくいただけます。

 玉ネギの辛味のもととなる成分は硫化アリルです。近年はコレステロールの調整や代謝促進、血栓の予防効果が期待できるとして注目されています。外皮に多く含まれるケルセチンには抗酸化作用と抗炎症作用があり、毛細血管の強化や動脈硬化の予防効果が期待されています。

 硫化アリルは加熱することにより、一部分解されて甘みに変化します。また、加熱により水分が失われるため甘く感じるとも。栄養のメリットを期待するならば、水にさらさず加熱もしない生食がおすすめです。