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からだ・美容

子どもの汗対策に制汗剤を使うべきか? 大切なのはしっかりと汗をかかせてあげること

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:辻 晋作

子どもがますます活動的になる季節、汗対策はどうする?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
子どもがますます活動的になる季節、汗対策はどうする?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 これからの季節、外で遊び回る子どもは汗をかいて頭や服がびっしょりということが増えてきますね。汗をかくとベタベタして、臭いも気になるもの。健康、美容の疑問を辻晋作医師が解説する連載の第6回は子どもの汗対策についてです。気温と湿度が本格的に上昇する季節を迎える前に、子どもの汗対策について考えてみましょう。

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子どもは汗をかく能力が未熟 無理に抑える必要はない

 子どもは汗っかきというイメージはありますが、実のところ思春期を迎えるまで汗をかく能力は未熟です。汗を出す汗腺の数は大人と子どもで違いはなく、生まれた時からほぼ変わりません。しかし、子どもは体が小さく、皮膚の表面積に対して汗腺が密集しているので大人より汗をかいている印象を受けるのです。

 暑い日や辛いものを食べた時、体温が上がった時に汗をかきますね。体温が急に上昇すると脳から「汗を出して」と指令を出します。皮膚の上で汗が蒸発し、その気化熱で体温を下げて体温を一定に保ってくれているのです。

 子どもの場合、発汗能力が未熟ですから、汗を無理に抑える必要はありません。外で遊んでいる時に汗がしっかりかけないと体の表面温度が高くなり、熱中症にもなりやすくなります。ですから、思春期までは汗を抑える制汗剤を使うよりも、しっかりと汗をかかせてあげることの方が大切といえます。

かきたての汗はほぼ無臭 皮膚の常在菌や汚れと混ざって臭いが発生

 汗をたくさんかくと臭いが気になるという方も多いでしょう。しかしかきたての汗はほぼ無臭です。汗をそのまま放置していると、皮膚の常在菌や皮脂、アカと混ざり合って臭いが発生します。

 汗を出す汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。エクリン腺から出る汗はほぼ水分なのでサラサラです。他に塩分が含まれているので舐なめるとしょっぱく、乾くと白く残ります。全身にありますが、特に足の裏や手のひらに多くあります。

 大人が気になる脇の臭いのもとは、アポクリン腺から出る汗です。脂質やタンパク質など臭いのもととなる成分を含んでいて、脇の下や陰部、乳頭にあります。エクリン腺からの汗よりも白っぽく粘度があります。

 アポクリン腺もエクリン腺と同様、誰にでもありますが、その量は個人差があります。思春期は活動が盛んになるので、小学校高学年くらいから脇の臭いが気になるお子さんもいるでしょう。しかしすべての人がワキガ(腋臭症)になるわけではありません。

 遺伝することが多いので、親がワキガの場合はお子さんも同じになる確率が高くなります。脂質が多い食生活も臭いが強くなる原因の一つです。とはいえ、子どもは大人が気にするほど臭いは強くありません。気にしすぎないようにしましょう。