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日本独自の文化を米メディアが絶賛 食品サンプルは「新しい食体験を提供する役割」
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コロナ禍以前の日本がインバウンドに沸いていた際、海外からの観光客に大人気だったお土産がある。それは飲食店の店先などに並ぶ「食品サンプル」。日本独自の文化であることや、その精巧さが大きな注目を集めた。6月10日から訪日外国人観光客の受け入れが決定する中、食品サンプルが再び脚光を浴びている。外国人を魅了する理由とはどこにあるのか。
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一時は衰退するもインバウンド効果で再脚光
日本固有の文化として、独自の発展を遂げてきた食品サンプル。元々は写真入りのメニュー表の代わりに考案されたという説。また、文字で書かれたメニュー表に比べ、インパクトがあることから集客を目的として作られたという説など、その成り立ちには諸説ある。しかし、1990年以降は印刷技術の発展などもあり、食品サンプルを飾る飲食店が減少。それとともに扱う工場が減り、食品サンプル文化は徐々に衰退していった。
そんな中、2010年代のビザ緩和により訪日観光客が増加したことで流れが変わる。日本語が読めなくても商品が分かることから「グローバルデザイン」として再評価され、食品サンプルを展示するお店が増えた。
さらに、一般向けにスマートフォンケースやUSBメモリなどのユニークなアイテムの発売や、体験教室などの開催もあり、日本人だけでなく外国人観光客から注目を集めるように。メディアでも頻繁に取り上げられるようになった。
美術品としても高い評価 大きな役割を担う食品サンプル
このように、食品サンプルは世界に誇る日本の文化として広がりを見せている。しかしコロナ禍以降、外出制限や飲食店への感染対策要請、水際対策の影響などもあり、食品サンプルの注目は再び低下。そんな中、6月から訪日外国人観光客の受け入れ再開のニュースが報じられると、米NBC朝の情報番組「トゥデイ」の公式ウェブサイトは現地時間25日、日本の食品サンプルに関する特集記事を掲載した。
「目の保養になる――日本の芸術である食品サンプル」との見出しの記事は、食品サンプルの発祥における3つの異なった説や制作工程、いかに世界で評価されているかを伝えている。
今回の特集記事の中では、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が1985年に食品サンプルを「純粋な東京の伝統工芸のスタイル」と報じたことを提示。40年近く前に海外から注目を集めていたことが分かる。
1980年代には現代美術や各国の古美術、工芸、デザインなどを収集展示している、英ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館の展覧会に出品されたことも。さらに1990年には米ニューヨーク近代美術館の永久収蔵品になるなど、芸術界も魅了した。
同メディアは、「食品の食感や風味を視覚的に伝えることができる食品サンプルは、長年にわたり世界中の消費者に新しい食体験を提供する役割を担ってきた」と、その重要性を強調している。
(Hint-Pot編集部)