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からだ・美容

乳がんの精密検査は“初めての感覚”がいっぱい 38歳で右胸を全摘した女性が語るリアル

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

圧迫感が想像以上「骨シンチグラフィ」 つぶされそうな感覚にびっくり

 骨シンチグラフィ、通称「骨シンチ」は骨への転移を調べる検査です。当日は先に薬を注射、それから3時間ほど経った後に再度戻って撮影という流れなので、ほぼ待ち時間で半日ほど拘束されます。注射自体は秒速で終わり、その後は食事制限などもなかったので、近くのファミリーレストランで食事をしてから戻りました。

 私は閉所恐怖症などではないので、それまでの検査ではほとんど気になっていませんでしたが、この検査での“圧”はなかなか衝撃的でした。検査自体は、台の上で仰向けになってただ寝ているだけ。しかし、そこに天板のようなものが顔のギリギリまで近づくため、目をつぶっていても目の前に板がある残像が消えず、とても嫌な感じを覚えました。

 何とか約30分間を耐えましたが、つぶされそうな感覚というのは初めてで、もう少し長かったらちょっとパニックになっていたかも……。こういうこともあるのだなと、この時改めて「狭いところは大丈夫ですか」という質問の大切さを理解しました。こちらの検査は約1万8500円で、これまでの最高額です。

 造影剤を使う検査では、まれに出るかもしれないという副作用についての説明もありましたが、特に何も出ませんでした。

気の持ちようは体に影響 リラックスすることの大切さを実感

不安や恐怖がいろいろな症状として表れてしまうことも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
不安や恐怖がいろいろな症状として表れてしまうことも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 どの検査も痛みは注射くらいのもので、やってみればそう怖いものではありません。ただ、こうして本格的な検査が始まっていくと、治療に向けて物事が進んでいるという実感が湧く一方、今度は「転移」というキーワードが頭にちらつきます。

「乳がんではまず肺、肝臓、骨への転移を調べる」と言われて以来、以前からあった腰の痛みや空咳に対し「もしかしたら転移しているからなのでは?」という恐怖を覚えました。さらにこの頃、それまでは何の違和感もなかった右胸にチクッとした痛みまで出るようになっていたのです。

「悪化しているサインなのかもしれない……」との考えが頭をよぎります。そもそも体調変化や痛みなどの自覚がないまま乳がんが判明したため、何か少しでも違和感があるとすべてを関連付けてしまうのです。

 結果的に転移はなく、右胸の痛みも言ってみれば気のせい。恐らくすべて精神的なものが影響していたのだと思います。実際、現在受けている薬物治療の副作用も、気持ちが影響することも多いといいます。気の持ちようは、それほどまでにいろいろな症状として表れるということです。

 初めてのことは、あらぬ余計な心配までしてしまうもの。それでもできるだけ心配せず、リラックスして挑んでいこう! と自分に常々言い聞かせているところです。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン