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香港の水上レストラン無念の沈没 疑惑噴出でまさに伝説へ 「尋常ではない航路」報道も

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

在りし日の「ジャンボ」。岸から小舟に乗ってアプローチする趣向も人気だった【写真:Getty Images】
在りし日の「ジャンボ」。岸から小舟に乗ってアプローチする趣向も人気だった【写真:Getty Images】

 5月30日に香港外への移転が発表され、6月14日に“船出”した有名水上レストラン「ジャンボ・フローティング・レストラン(珍寶海鮮舫)」。香港の一時代を象徴する存在だっただけに、タグボートに牽引される姿が生中継されるなど大きな話題になった。しかし船主である運営企業は20日夜、まさかの「沈没」を発表。衝撃的な結末にファンが涙する一方、沈没までの経緯を追った地元メディアが「尋常ではない航路」を明らかにするなど、「ジャンボ」の伝説はまだまだ終わる気配がない。

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“休業”発表後は復活を目指したが…最後は海の藻屑に消える衝撃展開

 その現実離れした外観などで多くのファンを持つ水上レストラン「ジャンボ・キングダム」。香港島の南、アバディーン(香港仔)の深湾に浮かぶ香港屈指の有名店は、英国王室のエリザベス女王や米俳優トム・クルーズといった世界のセレブを迎えたことでも知られている。

「ジャンボ」ファンを襲った最初の衝撃は、2020年3月の“休業”発表。後に“廃業”だったことが判明するが、ひとまずは地域再活性化策の一貫として非営利での運営方法を模索することになった。そうして2年の月日が流れ、次なる衝撃は「香港を離れる」という今年5月30日の発表だ。新たな“主人”が見つからず、さらに6月にライセンスが切れるため維持に必要な検査などを香港外で受ける必要があるという説明だった。

 しかも休業の理由は、13年頃からの業績不振にコロナ禍が重なり、損失が1億香港ドル(約16億円)超に達したから。加えて、実は休業後も莫大な維持費がかかっており、新たな“主人”が見つからなかった理由もこの費用によるものが大きいという現状が明らかにされた。

 この発表があったほぼ直後には、「ジャンボ」の裏手にあるキッチン船の浸水も判明。半分沈没しているその様子は、傷心のファンに追い討ちをかけた。また地元政治家からは「香港政府が資金援助すべき」などの意見もあったが、香港を離れる決定は変わらず。出発日の6月14日には複数の地元メディアが生中継を実施した他、日本を含む世界で大きく報じられたことは記憶に新しいだろう。

「きっと立派になって戻ってくる!」と、現地で多数のファンに見送られた「ジャンボ」。しかし20日夜には「南シナ海の西沙諸島付近での沈没」が発表されるという、これまたとんでもない衝撃展開になってしまった。

 運営会社の発表を報じた各社の記事によると、悪天候に見舞われた18日午後から船内に水が入り、翌日に転覆。その後は完全に沈んでしまったという。幸いにも死傷者は出ていないが、1000メートル超という周辺海域の水深から船体の救出は困難とした。香港の一時代を象徴した華麗な存在は要するに、初めての“航海”で海の藻屑と消えてしまったのだ。

※25日13時55分に記事の一部を修正しました。訂正してお詫びします。