からだ・美容
「ヤクルト1000」人気で注目の“脳腸相関”を医師が解説 腸内環境はなぜ睡眠に影響?
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教えてくれた人:近藤 千種
腸内環境が良いほど睡眠の質は高まる
では、腸と「睡眠の質向上」の関係についてはどうでしょう。私たちが眠くなるのは睡眠ホルモンであるメラトニンの作用によるものです。メラトニンは脳内の中央に位置する2つの大脳半球、その間にある松果体(しょうかたい)から分泌されます。
体内に取り込まれたタンパク質は、腸の中の腸内細菌によって分解・合成され、トリプトファンという物質を作り出します。トリプトファンはメラトニンの生成に関係しているため、善玉菌が優位な腸内環境であるほどメラトニンの生成は活発になり、睡眠の質が向上するといわれているのです。
毎日コツコツ摂取 医師のおすすめは夕食後
乳酸菌は胃酸に弱いため、「ヤクルト1000」などの乳酸菌飲料をより効果的に飲むなら、胃酸の影響が少ない食後をおすすめします。特に夜間は胃酸の分泌量が少ないため、夕食後または寝る前に飲むのが効果的といえるでしょう。(編集部注:株式会社ヤクルト本社公式ウェブサイトでは「一日の生活の中で、続けやすい時間帯にお飲みください」とされています)
また、乳酸菌を摂る時は腸内にいる善玉菌にエサを与えて増殖を促す食品成分、プレバイオティクスを一緒に摂ると、より効果的といわれています。そのため、毎日の食生活でオリゴ糖や食物繊維が豊富な食品を摂取するよう心がけましょう。
また、乳酸菌飲料は熱に弱く、50度以上に温めると乳酸菌が死滅し生菌数が減ることが考えられます。鍋にかけたり電子レンジで加熱したりすることは避けた方が良いと考えられます。(編集部注:株式会社ヤクルト本社公式ウェブサイトでは「10度以下」での保存が推奨されています)
摂取した乳酸菌は腸に定着するわけではありません。毎日コツコツと生菌することが大切です。一度にたくさん摂取したからといって効果が大きくなるわけでもありません。むしろ、乳酸菌飲料の過剰な摂取によって糖分を摂りすぎたり、お腹の調子を崩したりする可能性もあるため、摂取量には注意が必要です。
適度な運動や十分な睡眠を心がけることで、より腸の働きが活発になります。毎日の生活習慣を見直しながら腸内環境を整えていきましょう。
(Hint-Pot編集部)
近藤 千種(こんどう・ちぐさ)
1971年生まれ、愛知県名古屋市出身。ちぐさ内科クリニック覚王山院長・抗加齢医学会認定専門医。10代からモデルとして活躍。33歳で医師を志し、その後わずか1年で帝京大学医学部に合格。医学生時代に日本スクーバ協会が主催する「ミスダイバー」コンテストで第9代準ミスダイバーを受賞し、GTレースクイーンやグラビアアイドルとして活動する。2013年に帝京大学医学部卒業、医師免許取得。現在は愛知県名古屋市内にて、ちぐさ内科クリニック覚王山院長として内科医だけでなく美容内科/美容皮膚科医としても活躍中。