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からだ・美容

38歳で乳がんに罹患した女性 「全摘」を選んだ理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

手術にあたって気になったこと

 私が一番気になったのは、見た目よりも動きの制限でした。ヨガをやっていることもあり、胸を大きく取ることで、胸を張ったり腕を上げたりといった動きに大きな影響が出るのでは? というところです。これについては、胸の筋肉の上の部分を切除するので、手術直後はある程度の影響はあるものの、将来的にはあまり問題ないとのことでした。

どう温存できるかは、胸の大きさやしこりの位置で大きく変わる

 部分切除では胸を温存できますが、実際のしこりより一回りほど大きく切除することもあり、どうしても左右差と変形が起こります。ただ、これもどのくらい胸の形が変わるかは、その人の元々の胸の大きさ、切除する位置によっても変わるのです。

 私のしこりはそこまで大きいわけではなく、さらに胸のサイズは小さくはないがさほど大きくもない。医師に「部分切除にするとどうなりますか?」と聞いてみると「できるだけきれいな形で残してあげたいけれど、位置的にかなり変形してしまうかなぁ……」との回答でした。

私が全摘を決めた理由

 乳房温存する部分切除でも可能なのに、なぜ全摘を選んだのか? この選択は、胸に対する個々人の思いによります。私は乳がんと診断された直後から、「胸を残したい」という気持ちはほとんどありませんでした。胸を残すよりも、「再発などの不安要素は少しでも減らしたい」「治療の負担はできるだけ少なくしたい」という思いの方が強かったのです。

「部分切除でも可」という可能性が提示された時は、確かに少し迷いました。ただ、残したところで私の場合はかなり変形してしまうし、放射線治療に通うのはちょっと面倒。万が一、再手術になるのは避けたい。何より動きに大きな制限や違いがないのであれば、あまり心配はありません。

 もちろん、同時再建すれば、見た目的にはそこまで変わりないけれど、そもそも見た目にこだわりがなかった私。再建となると形成外科との調整が必要なので、最短の術日では難しいかもしれないとのことでした。一刻も早く手術してほしかったため、乳房再建についてはいずれ気が向いたら……と、今回は見送りに。「全摘のみ、再建なし」の方式で進めることにしました。

見た目問題、解決する策はいろいろ

「今は再建技術がかなり上がっているので、全摘してもきれいに再建できますよ」という医師や看護師さんたちの言葉も後押しになりました。今のところ再建する予定はないのですが、今以上にきれいな胸が手に入るなら中途半端に残すよりもいいかも? と思えました。また、最近は良い下着やパッドもあるので、再建しなくても問題なく洋服も着こなせます。

「胸を取るか取らないか」――。大きな決断の一つではありましたが、現在、全摘手術後約3か月、動き・見た目ともに、私個人としては「胸がなくて困る」ことはほとんどありません。海や温泉にも行くつもりですし、逆に周りの人を驚かせないように配慮しなければと思っているくらいです。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン