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有名歌手の名前でも知られる地名の「一青」 古くから続く鳥との密接な関係とは
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教えてくれた人:日本地名研究所
今から18年前の2004年に「ハナミズキ」が大ヒットして、日本のトップアーティストとしての地位を確立した一青窈さん。歌声の素晴らしさもさることながら、その珍しい名前が本名だということも話題になりました。実はこの名前、地名にも使われていることをご存じでしょうか。「Hint-Pot地名探検隊」は今回、この「一青」という地名をクローズアップ。一体どんな由来があるのでしょう。40年以上も地名研究を続けている日本地名研究所(神奈川県川崎市)の協力で深掘りしていきます。
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漢字は異なっても「シトト」や「ヒトト」と呼ばれる地名は全国でも
「シトト」や「ヒトト」と呼ばれる地名は全国でいくつか見かけます。広島県庄原市西城町小鳥原(ひととばら)は、江戸時代には小鳥原(しととばら)村と呼ばれていました。江戸時代末期の地誌「芸藩通誌」には「あるひは神鳥の字を用ふ。鵐(しとと)とよむなり」との記述があります。
栃木県小山市には「神鳥谷(ひととのや)」という地名があります。これも以前の読み方は「しととのや」であったといいます。小山市とシトトノヤの関係性については伝えられていませんが、天文5年(1536年)の文書には小山領下郷分として「しとゝのや」という記録があり、江戸期にあった「神鳥谷村」がヒトトノヤと呼ばれるようになったようです。この辺りはシトドと呼ばれた湿地帯で、そこから転じて「神鳥」の字をあてたのかもしれません。
神奈川県横浜市青葉区にあるのが「神鳥(しとと)前川神社」。鶴見川の支流・恩田川の川縁に接し、一段高いところに鎮座しています。古くは白鳥前川神社と呼ばれていたそう。いつからか白鳥が神鳥と書かれるようになり、「シトド」や「シトトリ」と読むようになったといわれています。
日本だけでなく、ギリシャ神話などに登場する鳥も「神の使い」とされていることを考えると、「青一」を始め、鳥にまつわる名に神秘的な雰囲気が漂うのは自然の流れなのかもしれませんね。
(Hint-Pot編集部)