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からだ・美容

乳がんで胸の全摘手術 所要時間と実際の流れは? リンパ節への転移有無は術中に確定

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

麻酔が効いて、いつの間にか寝落ち

 手術時間は約2~3時間の予定。センチネルリンパ節生検の結果を受けて、リンパ節切除の有無によっても変わってきます。

 そして手術室へ。手術室までの移動はもちろん、手術台も自分で上がります。しっかり布で隠してもらいながらガウンを脱ぎ、ほんのり温まっているベッドに横になりました。よく見る手術室の景色を眺めつつ、これぞまさに“まな板の上の鯉”でされるがままです。

 中学時代、脚を骨折して手術をした時は下半身麻酔でした。途中眠っていた時間もあったものの、眠ったのも目覚めたのも手術室。子どもということもあっていろいろと配慮してくれていたのか、よくドラマであるような「では始めます! メス」のような分かりやすい言葉はなく、知らない間に始まっていました。さらに、当時流行りのJ-POPをBGMにかけてくれて、その中で眠りに落ちたことをよく覚えています。

「全身麻酔だとどうなるだろうか……」などと考えながら始まるのを待ちました。酸素を計る機械や心電図を取り付けたりするものの、意外と静かな待ち時間。何かする度に医師や看護師さんが丁寧に説明してくれる優しさが不安を和らげてくれます。

「この後、麻酔が入ると数分で眠くなりますからねー」と麻酔科の医師。その後、主治医が「今日来てくれていたのは、叔母さんなんだよね?」と「そうなんですー。埼玉に住んでいて近いわけではないんですけど、母の代わりのように最近はお世話になっていて……」「そうなんだねぇ」なんて話していると、知らぬ間に寝落ちしていました。

ぐっすり眠って、楽しい夢の最中に起こされた

 内容はあまりはっきり覚えていないのですが、とにかくものすごく楽しい夢を見ている途中でした。「島田さーん」と遠くで呼ぶ声が聞こえてきて「あ、返事しなきゃ……」と思うのですが、なかなか声が出ません。4回目の名前の呼びかけで、ようやく「はーい……」と力のない声が出て、その後は一気にパーッと意識が開けていきました。

 麻酔が切れて、意識が戻ったことを確認したタイミングで呼吸の管を抜くと聞いていたため、吐くのが嫌いな私は「オェッとえずくのでは」と内心ビクビクしていたのですが、いつ抜いたのかまったく分かりませんでした。

手術から目覚めて、一安心

 帰りは手術室からベッドのまま病室へ運ばれます。手術室の外で叔母と再会し、一番に「リンパ節取った?」と聞くと「転移はなかったから取ってないよ」との言葉で一安心。

 時間は午後1時45分頃、手術室に行ってから約2時間。一緒にエレベーターに乗って病室のあるフロアへ到着すると、再度叔母と別れ、私は病室へ戻りました。

 手術について、「体感時間は5分だった」など人によっていろいろな感想があります。私は「ぐっすり眠って、楽しい夢を見ている中で起こされた」という感覚でした。まずは無事に終わって目覚めて、ちゃんと戻ってこられたことに安心しました。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン