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蚊の活動期間が延びた!? 「11月末頃まで注意」と専門家が語る理由 効果的な対策は

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:白井 良和

11月末頃まで蚊に注意 都市部の住環境の変化で蚊が増加傾向に?

 気象庁の発表によると、2021年の日本における平均気温基準値(1991~2020年の30年平均値)からの偏差はプラス0.61度。日本の年平均気温はさまざまな変動を繰り返しながら上昇しており、特に1990年代以降は高温になる年が増えているといいます。

 その影響なのか、長袖の季節になっても蚊を頻繁に見かけるようにも……。今年はいつ頃まで気をつければいいのでしょうか?

「人間の血が好きで、人間生活に適応してきたヒトスジシマカは、以前より増えているかもしれません。その原因は、住宅地の雨水ますやコンクリートブロックに発生する水たまりが増えていること。ガーデニングによる植物の茂みや鉢受け皿の増加。さらに廃タイヤの数も増え続けていることなどが考えられます」

 こうした環境の変化は、水たまりで育つ幼虫の発生源の増加をもたらしただけでなく、成虫の潜み場所の増加につながっている可能性もあるそうです。

「羽化が5月から4月に早まっているかもしれません。また秋は11月末頃まで吸血するヒトスジシマカがいて、晩秋まで活動するため、活動時期としては長くなっている可能性も。ビルの増加により、湧水槽のマンホールから発生するチカイエカも場所により増加の可能性があります。昼に刺すヒトスジシマカ、夜に刺すアカイエカともに、11月末頃まで気をつけた方が良いでしょう」

 こうした変化は都市部で多くみられる一方で、農村部では真逆の傾向がみられるそう。

「湿地帯や水田、汚い水に幼虫が住むシナハマダラカやコガタアカイエカ、アカイエカについては、昔より減少したと考えられます」

今からできる! 蚊の発生を少なくする5つのポイント

鉢受け皿を屋外で使用すると、蚊が産卵し増える原因に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
鉢受け皿を屋外で使用すると、蚊が産卵し増える原因に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 知らず知らずのうちに蚊の発生源が増えている現代。今から秋に向けて自宅付近で蚊が増えないようにする対策はあるのでしょうか。白井さんによると、ポイントは次の5つです。

【蚊の発生源を少なくする方法】
・雨水ますなどなくせない水たまりには、蚊の羽化を阻害する昆虫成長制御剤を投入する
・屋外では鉢受け皿を使用しない
・草を刈ったり茂みを少なくしたりして、成虫の潜み場所(隠れ場所)を少なくする
・プラスチック容器で雨水が溜まるものは屋根の下や屋内に入れる
・廃タイヤは雨水が抜けるようにするなどし、雨のかからない場所に置く

 蚊はちょっとした水たまりにも産卵します。暑さが落ち着き蚊の活動が活発になる秋に備えて、自宅の周りが格好の生息地にならないよう、今から対策をしてみてはいかがでしょうか。

(Hint-Pot編集部)

白井 良和(しらい・よしかず)

害虫防除技術研究所代表、有限会社モストップ取締役、医学博士。京都府京都市生まれ。1994年、京都大学農学部卒業、1996年、京都大学大学院農学研究科修了後、殺虫剤メーカー勤務を経て、2001年富山医科薬科大学大学院医学系研究科博士後期課程修了。2001年、害虫防除技術研究所を設立、2003年、蚊駆除業務を柱に有限会社モストップを創業。現在では、蚊忌避剤や蚊捕獲器など、蚊や害虫の対策商品について効果を確認する試験を主な業務とし、書籍の出版、テレビ・ラジオ等のメディア協力、YouTube動画配信、Web記事の監修等を行っている。