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タワマンには絶対に虫が出ないは本当? 実際に購入した女性の体験とプロのアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

ここだけには虫が出ないと信じていたのに(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ここだけには虫が出ないと信じていたのに(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 虫は高く飛べないので、高層マンションには虫が出にくいとはよく聞く話です。「虫嫌い」なことから、タワーマンションには虫が絶対に出ないと信じ、購入した女性の体験談をお届けします。アドバイスは東京・中目黒で「コレカライフ不動産」を営む姉帯裕樹さんです。

 ◇ ◇ ◇

子どもの頃から虫が苦手なため三十数階の部屋を購入

 都内某所のタワマンに住む角田きらさん(仮名・31歳)。インドア派の両親に育てられたこともあり、子どもの頃は外で遊ぶ機会もそんなに多くなかったそうです。そのためか幼い頃から虫が大の苦手で、山や川に行く遠足はつらかったのだとか。大人になった今でも克服できておらず、虫を見ると時には周囲も驚くほどの悲鳴をあげてしまいます。

 今から3年前のこと。きらさんは長年勤めて貯めたお金で、マンションを買おうと考えていました。どうせなら新築を……と、さまざまな物件を見て調べていたところ、魅力的な情報を目にしました。

「タワマンなら、虫は出ません」
「タワマンの上層階って、網戸がないのは虫がいないから。必要ないらしい」

 高層マンションは虫が出にくいという話は、耳にした人もいるのではないでしょうか。多くの虫は草木が生える地上に多いので、地面から離れれば離れるほど、理論上は虫が少なくなるとされています。

「20階以上の物件であれば、羽がある虫でも飛んでくることができず、虫に煩わされることは絶対にないはず、と思ったんです」ときらさん。

 最初に考えていた予算よりかなり高い買い物になりましたが、虫が絶対に出ない環境が手に入るのであれば高くても手に入れたいと考え、きらさんは三十数階にある1LDKを購入しました。

 しかし、いざ引っ越してみたところ……。

「出たんです。しかも、誰もが絶対見たくないと思っている、あの黒いやつ。絶対に出ないと思っていたのに!」

タワマンと虫との関係 実際はどうなの? プロが解説

 不動産のプロであり、数々の悩みに応えてきた中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯さんは「タワマンと虫との関係」について次のように解説します

「タワマンって、けっこう風が強いんですよね。その風に乗って、虫が飛ばされてくることはよくあります。虫は都心でも生息します。たとえ、自然が少ない都会の高層タワマンであっても、虫からは逃れられないでしょう」

 たとえ20階でも30階でも、それ以上の高層階でも、虫に関して「絶対」はないとのこと。さらに虫の侵入経路は、風だけではなく、多岐にわたります。

 姉帯さんによると、何かの拍子に人間やペットにくっついていた虫が入ることもあれば、エレベーターに乗って上階に上がることも。また他にも家に持ち帰った荷物に紛れていたり、室内に置いた観葉植物の土の中にいたりと、さまざまな侵入経路があります。

 夏に遭遇しがちなゴキブリについても、高層階だからといって油断はならないといいます。排水溝のパイプや換気扇のダクト、非常階段などを上ってきて、そこで繁殖する可能性もあるそう。

 気密性の高さがあだとなって駆除しづらく、また、ゴキブリのエサとなる小さな昆虫が高層階になると少ないため、わずかな隙間を見つけては部屋に入ってきて、生ゴミを食べたり水を飲んだりすることも。場合によっては、マンションのあらゆるところに巣を作って繁殖してしまうことも否定できないとのことです。

 ちなみに「虫がいないから大丈夫!」とばかりに、ちょっぴり「汚部屋」にしてしまっていたというきらさんは、今回の一件で反省。高層でも虫は侵入するということで、夜寝る前はゴミをきちんと袋に入れてダストシュートへ。水回りを雑巾で拭き、ゴキブリにエサや水を与えないよう注意するようになり、以後、姿を見かけることはほぼなくなったそうです。

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。